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店というコクーンを育てる。


一年前の2017年5月1日のウチノ食堂には、ただ自分という人間と何冊かのお気に入りの本たちがあった。内野町には職人たちが日々つくる食材があって、いつもここにある食材を活用する「イツモの定食」をつくることにした。

2018年5月1日のウチノ食堂には、変わらず自分という人間と何冊かのお気に入りの本がある。

日々、お米を炊き、
日々、お惣菜をつくり、
日々、コーヒーをいれる。

この“食事を提供すること”以上に、食堂という営みの中で誰かと積み重ねた“時間”や“記憶”(sceneもしくはact)に何よりの価値があるように感じている。この場で、誰と何を共有したのか。それを一人だけ全て(表面だけであっても)知っている店主という仕事は、とても贅沢な仕事だと思っている。

小さなお店の世界は深い。

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「#ウチノ食堂」の日常。


先日、内野町で「雑貨・古道具denecca-デネッカ-」をオープンした茂木芽衣さんがロゴマークのデザインとともに良いコンセプトをまとめてくれています。

「四ツ角な場所」。
店舗の立地であり、内野町の象徴でもある四ツ角。

ここに来るお客さんは、当たり前だけど、
みんなそれぞれの人生を送っていて、
いろんな日常を過ごしている。

そんなお客さんの「日常」が、
この場所で少しの間、交差する。
お客さん同士、
内野の美味しい食材とお客さん、
店主とお客さん、
食材だって。

いろんなものの交差点になれるのは、 きっと日常の線上にこのお店があるから。
ウチノ食堂は たくさんのコトや人が出会う、交差する、
「四ツ角」な場所。

■感性を保つ

店主は旅が好きだけれど、“旅好き”というよりも“知らないことを知る”ことが好き。移動することや、どこかに行くこと自体に意味はない。

変化を見るのが好き。
それまで存在しなかった世界観を知るのが好き。
世の中の関係性を考察するのが好き。

だからお店の一部を使って、2017年12月にミニギャラリーをつくった。
ギャラリーといっても1×1×1.7mの、人一人分の小さな空間。縁のある作り手の方々に展示・販売をしてもらっている。

まず、何より店主がここでの展示を見るのが好きだ。

日頃から「“表現する人”が増えたら楽しいな〜。」と思っていて、そのためには「それを“受けとれる人”が増えるといいな〜。」と思っている。これはけっこう重要で、商業的ノイズの多い日本で自分の感性を保つ(取り戻す)には、(必要であれば誰でもない“誰か”になって)自由に表現する/観る場があるといい。最小空間でも良い。
そのためのツールがミニギャラリー『ウチノ商店』であって、さらに『一〇〇番地くらいまで拡張すると、小さな経済圏が生まれるのではないか。』という実験も含むので、これは二重に楽しみ。

■店というコクーンを育てる。

(今のところ)一人でやっているお店ではあるけれど、いろいろなお仕事のお話に対しては、「お店と相談して決めます。」と言いたくなる場面が(スケジュール的にも、内容的にも)多々ある。まだ一年しか経っていないけれど、“ウチノ食堂”という人格と一緒に仕事をしている感覚がある。自分は店主であって、お店ではない。

“ウチノ食堂にとってのシゴトとは何か?”ってコトと、“自分は何をしていたらご機嫌なのか?”、ってコトをすり合わせる日々が毎日あって、気付いたら一年が経っていました。

人と人のコミュニケーションが積み重なると文化が生まれる。
文化が入る箱としての店があって、
文化は人の居場所。

この箱から町へ、何かが滲みでていく。
無数の弱いつながりがあるがゆえにしなやか。

ゆるりとそんな2年目になるといいな。

この一年間、一度でも足を運んでくれた方、いつも通ってくれているあなた、方々でサポート/援護してくださった方に感謝しつつ、二年目を迎えます。

いつもありがとうございます。

ウチノ食堂 店主

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