アメリカが中国に屈服? ついに中国式国家介入経済政策が始まった!
国家的屈辱?中国の真似を始めた米国
BusinessWeek2021年6月21日号は冒頭の社説で、衝撃的な見出しをつけています。
「習近平よ、我々はあなたに借りができた!」というもので、副題は「中国はアメリカの政治家を目覚めさせてしまった」とあります。
一月くらい前に、バイデンさんがフォードに乗り込み、派手に電気自動車業界のPRをした件をお伝えしましたが、この動きも今回の記事に関係あります。
要するに、アメリカは中国式の経済運営を真似し始めた、ということです。中国の経済介入、つまり国家が補助金や助成金をバンバン、戦略的に成長させたい業種にぶち込み発展させるというやり方で、これが成功して中国はアメリカを脅かすようになったのです。
中国のやり方と、アメリカは正反対のアプローチをとってきました。それは、市場の自由なメカニズムに任せるという経済思想です。有り体に言えば経済の自由なメカニズムにすべて任せる、という信念です。しかし、中国の成功があまりに劇的だったために、アメリカも右に習えをしたということです。
ちょっと今日はBusinessWeekのレポートを見てみましょう。
中国にインスパイされ通過した通称”チャイナ法案“
中国政府が新疆ウイグル地区の人々を迫害し、香港の民主的な活動家を投獄し、台湾をいじめる、アメリカ人が中国に感心したり、ましてや感謝することなどないはず。いや、そうではない、中国のおかげでアメリカはその経済政策を”修理“することができたからだ。
どういうことか。
さる6月8日上院で、超党派の法案Innovation and Competition Act (改革と競争に関する法案)が68対32で通ったのである。この法案は科学研究へのファンドと半導体製造へのサポートに2億5000万ドルを拠出するという内容である。
トランプvsバイデンを引きずり対決色を深める両党が一致して、いわゆるこのChina bill (中国法案)を可決させた背景には、中国経済の桁外れの躍進、敵対的な対外政策、ワシントンで募る恐怖と懸念、こうしたものがないまぜになっている。
この法案は中国政府によってインスパイアされ可能になった。だからアメリカは中国に感謝すべきなのである。
関税でも対話でも中国の勢いを止められず
中国政府は法外な補助金を出して、電気自動車、AI、チップ(半導体素子)といった先端分野をサポートしているが、これは避けようがなかった。米国および他国は、似たような国家プロジェクトで対抗することもできた。
対話と関税というアメとムチで懐柔しようとしたが失敗、「いうこと聞かせることができないなら、妥協するしかない」となって、できたのが今回の法案だ。
今回の法案は、しかし、アメリカの中国政策にブレイクスルー(画期的な問題解決)をもたらすものだ。中国はアメリカの多くのエコノミスト、政治家が失敗した分野を成功させている。ワシントンはイデオロギー的に麻痺しており、経済成長に国家が積極的な役割を演じている中国のやり方を取り入れざるを得なかった。
市場メカニズムは共産主義に屈したのか
かつてアメリカも政府主導の経済政策をやっていた。大陸横断鉄道、州と州を結ぶインターステートハイウェイシステム、半導体業界、これら全てがタックスマネー、税金で賄われたこともある。
しかしレーガン政権の改革以来、自由市場への盲信が過ぎ、市場にすべてを任せすぎ、政策の主張は無視され、アメリカ国家からの経済への投資はしぼんでいく。しかし、中国の影響で多くの政治家が、問題は税金で解決できると主張しはじめた。国家が帰ってきたのだ。
マーケットに任せておけば大丈夫、市場は人間よりも賢い。
このアメリカが信じてきた自由市場の法則が、市場メカニズムがいま揺らいでいるのだ。例のバイデン大統領肝いりの、電気自動車をはじめとする交通インフラ大改革のキャンペーンもその一角をになう。
すみません、ちょっと今日はさっき学校から帰ってきて、時間がなく連続55日目の投稿ができなくなりそうなんで(笑)、この続きはまた明日。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
野呂 一郎
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