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清張の創造性講座5 いろんなジャンルに手を出せ。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:作家・松本清張の創造性作法その5は、興味の赴くままに様々なジャンルに手を出せ、という教えだ。そのココロは「創造の大敵は飽きること」という教えが見えてくる。

一つのことだけやるな

器用貧乏ということばがあります。

いろいろなことに手を出して、結局どれも中途半端に終わることをいさめた表現ですが、一つのことに集中して秀でろ、というのが日本人の価値観のようです。

「広く浅く」ということばも同じニュアンスですが、よいイメージを持った言葉とは言えません。

しかし、松本清張は、こうした議論をやすやすと超えて、「創造性とは多様性である」ということをその多彩な作品群で教えてくれています。

五木寛之との対談で、五木さんはこう驚いてみせます。

「松本さんの推理小説以外の作品を読み返して見たのですが、あまりにも幅が広いので改めて驚いているわけです」・・中略・・何が現代史から古代史、推理小説から社会小説までの幅広い仕事に松本さんをこれほどまでに駆り立てているのか」。

創造性の大敵は飽きること

五木寛之のこの問いに対しての、松本清張の答えは意外なものでした。

「僕の場合には一つのところにいないからね。

つまり、現代史なら現代史だけをやっていると飽きちゃうけれど、古代史の方も同時にやっていると、両方を行ったり来たりできるわね。

そうすると、飽いたはずのものが、別の方から戻ってくると新鮮な気持ちでその仕事にかかれる。中略。

歴史小説を書いていて途中でいやになったら、それはそのままほっておいて、現代小説のほうに移る。それを交互に繰り返すことによって、両方ともフレッシュな気持ちで原稿が書ける」。

要するに清張は、創造においては、「飽きないこと、常にフレッシュな好奇心を持って、創造活動に関わること」こそが最も重要だと指摘しているのです。

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飽きない状態というのは、集中力が高まっている状態のことです。

一つのことに飽きたら、どんどん違うことに手を出していいのです。

常に新たな好奇心で、新しいジャンルに向かう時、人間は大きな集中力を発揮することができます。

その推進力で、新しいジャンルも、やすやすと攻略できるでしょう。

そして新しいジャンルの探求でえた気づきや理解、知識が、飽きたはずのジャンルを新たな魅力的なものに見せ、また新たな気持でこれまでのジャンルに向かうことを可能にするのです。

経営学も幅を広げよ

僕レベルの話で恐縮ですが、学問を志した当初、人的資源管理を専攻していました。

しかし、途中で飽きてきて、マーケティング、経営戦略にも興味を持つようになり、本や論文を書くようになりました。

こうしてマーケティングや戦略に親しんでくると、今まで気が付かなかった人的資源管理の面白さがわかってきました

マーケティングや戦略で強調されている「競争」という視点から人的資源管理をもう一度見てみると、全く新しい景色が広がってきたからです。

もし、他の分野に浮気(笑)していなければ、僕の人的資源管理は従来の枠を外れず、もっとつまらないものになっていたでしょう。

恥ずかしながら、その「競争」という視点から、人的資源管理をとらえ直したのが、拙著「HRMとは何か」でした。

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もっと積極的に他ジャンルに手を出せ

皆様ご存知のように、この拙い私のnoteは、経営学の他に政治、経済、社会、スポーツなど、様々なジャンルに手を伸ばしています。

好奇心に従い、興味の向くままに、領域を広げているのですが、他ジャンルに親しむことで、経営学がよく見えてきた感じがあります。

そして気がついたのは、経営学はあらゆるジャンルに応用できる、ということです。

なぜならば、経営学は「問題解決の学問」だからです。

僕の世紀の奇書(笑)「プロレスの経済学」も、プロレスに問題解決を託した代物といえましょう。

えーっ、僕のサイン本なんて売れるのかよ?https://qr1.jp/KJWJi6

これからも、「実力もないのに守備範囲を広げすぎ」「馬鹿なのに欲張りすぎ」との非難を恐れずに、他分野にどんどん挑戦していきたいと思っています。

僕の秘策は、武道です。

https://qr1.jp/qn6jgE

何十年もかけて習得した身体知である武道と、学問知をドッキングさせて、新たな知性の地平を開きたいなどという、だいそれた期待を抱いています。

勘違いも甚だしいですが、「思い込みも何かを創るためには意味がある」と無理やり自分に言い聞かせています。

野呂 一郎
清和大学教授


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