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しゃりが隠れるような大ぶりの小肌から、“これぞ鮨”を味わい尽くす。大和市中央林間、すし処「なかみぞ」。

煮切り醤油で焦がされて
旨味が凝縮された、
鱈の白子のめくるめくコクが、
魚介の出汁で炊いた
酢飯に乗せられてくれば、
唇と舌で吸い尽くす
かのように味わってしまう。
最初に出されたこの組み合わせは、
フレンチで言えばアミューズの驚き。

前奏となる“つまみは、まず
刺身三種(見出し写真)から。
〆鰯の巻物に福井の甘海老、舞鶴の寒鰆。
〆鰯は胡瓜と沢庵と一つになって
目を細める味ざわりになり、
焼かれた皮目がじんわりと
味わい深く香ばしい寒鰆は、
肉厚の身が塩で引き立つ。

とろりとしたイカ素麺で
口をすっきりとさせた後は、
鮟鱇の肝にフライドガーリックを
乗せた一品、塩味と歯ざわりに
濃密な肝が際立つ。
しばらくして、
里芋がソースのようにかかった
カマスの塩焼きが出る(下の写真)。
しまった厚みある白身が、
ねっとりとした里芋にくるまれて、
噛むほどに、噛むほどに、
ほぐれる身から旨み、あふれる。

フレンチ、と言ってもよい趣。


   ■ ここから陶酔の  [鮨八貫]■

しゃりが隠れるような大ぶりの
小肌の繊細な白身で、
きゅっと口の中を整えれば、
カワハギの肝乗せを
手のひらに握らされ、
そのまま鮮度を頬張る。
十字の切り込みが入った
帆立は、あり余るほどの
贅沢な食べ応えを感じつつ
その甘美にひたる。
メジマグロの中とろの
やさしい脂の味わいが、
ゆっくりと舌の上で披露され、
小柴のスミイカを、
歯ごたえを楽しみつつ軽やかに
サクリと噛めば、
大間のマグロ中とろは、
味覚はもちろん舌まで
うっとりとする
上品なまろ味が
頬の内側から舌にかけて広がる。
この時季にしては脂の乗った
三陸の穴子もボリュームたっぷりで、
こってりとしたタレと炙りの香ばしさが
口の中で濃厚な滋味を膨らませる。
最後は、
海老をたっぷり仕込んだ
甘みふくよかな卵焼き。
そして、
宍道湖のしじみの
お吸い物で
大将との会話を交えた
2時間弱の鮨時間はフィナーレへ
(鮨の写真、もちろんなし)。

“しじみびと”が生み出す味の冴え。

見事、と書くまでもなく、
口の中から
恵比須顔になっていた。

オフィスの並びの
大和市中央林間、
すし処「なかみぞ」。

たとえ銀座に出ても一級品、
と言いたい。


今日もご近所の味で。






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