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星空の撮り方の基本 #準備しましょう

以前、初心者向けに星空の写真の撮り方の基本のお話をしました。Youtubeではこちらにあります。(下線のある部分はリンクしています)

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今回は、とても大切な、準備のお話です。撮影の前の準備について、以下の項目を目安にお話していきます。

1 構想
2 調査・計画
3 機材準備
4 ロケハン

1 構想

どんな写真を撮りたいのか、構想を練ります。もちろん、構想が先にくる場合と、その場でひらめく場合があると思います。構想が先に来る場合、私の場合はイメージをイラストに描きます。残念ながら、イラストは下手なので、実際の例はお見せ出来ませんが、思いついてもすぐ忘れてしまうので、イメージを書いて残すようにしてます。

構想を実現させた例としては、例えばこんな写真があります。

水晶

水晶玉に映ったオリオンです。バックのボケた光が実際の星空です。

もちろん、こんな写真は、思いついたからと言って、すぐ撮れるものではありません。何度も何度もテストも含め、撮影を繰り返しています。いまならこれよりはるかに印象的で、美しい写真を撮る自信はありますが、現実問題としては手モデルさんの確保の方が問題です。モデルさんが必要な構想ではいつも一番難しいのがモデルさんの確保ですね。寒くて暗くて誰もいない山奥に行ってくれる人も少ないですし、行ってくれれば誰でもいいわけでもないですしね(^^;

いまでも、ずっと撮りたいと思っている写真はたくさんあります。ノートにイメージは描かれています。私は常に、誰も撮った事がない写真を撮りたいと思っているので、基本的に人まねはしませんが、たくさんの写真を見て、素晴らしいと思った写真は参考写真として集めてもいます。これも他人の写真なので残念ながらお見せ出来ませんが、実際にお会いする講座では、たまに良い写真(悪い写真も)の例をお見せする時があります。もちろん、ちらっとお見せするだけで、テキストなどには載せてません。

撮影に行けば、構想通りの写真が撮れるとは限らない(というか、たいていは思う通りには撮れない)し、良い被写体をその場で見つけることも多々あるので、もちろんそこは臨機応変に撮ります。

2調査・計画

撮りたいイメージが決まったら、そのイメージで撮れる場所を探さないといけません。ネット検索や口コミなど、さまざまな手段を使って、イメージに合う場所を探します。構想を実現させるための撮影方法も考えなければなりません。

場所を探す場合は、よくご紹介してる光害のマップなどを参考に、Google Earthストリートビューなどを使って、良さそうな場所や道からみた具体的な風景を調査します。

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私は基本的に、風景写真家ではないので、自然風景を探すだけではなくて
イメージに合う場所、しかも星空が撮れる場所、を探します。

面白い建物、廃墟とか、アートな場所っていいですよね。ただ、そういうところは、入れない、撮影が出来ない、もしくは作品として発表出来ない場所も結構あります。一時的にしか存在しない場合もあります。これは今はもうない、淡路島の難破起重機船です。

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調査には、もちろん撮影時の天候月の影響を含む星空の状況などが含まれます。現地調査については、4 ロケハンに続きます。

撮影方法を考案しなければならない場合もあります。水晶玉のオリオンについて言えば、水晶玉をどうやって静止させるかという問題がありますね。この重さの水晶玉を15秒間静止させて持てる人はいませんからね。単に人に立っててもらう場合でも、15秒も立って完全に静止していられる人はいません。星空を観る人を入れるのが昔からの私のひとつのスタイルでした。昔、悩んだのは、長時間静止してもらう事でした。記念写真であればストロボを使ってもいいんですけどね。昔はまさに何度も撮って、なんとか静止出来ているものを選んだりしていましたが、解決策が出来ました。実はせっかく解決策が出来たのに、最近は撮れてないんですけどね。こういった方法についてもそのうちYoutubeなどで実践してお見せしようかと思っています。

3 機材準備

当然ながら撮影するための機材も準備します。必要な機材、カメラ、レンズなどの確認ですね。大切なのは、予備も含めたバッテリー類の充電ですね。カメラだけじゃなくてバッテリーを使っているものは色々ありますからね。

星景写真撮影には、色々と必要なものが結構あります。星景撮影に役立つ、小物・小技の記事もぜひ参考にしてください。Youtubeはこちらです。

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小物・小技の記事で紹介したような機材は、バラバラにしてると忘れやすいです。本当に小さなものもあるので、そういうものはケースにまとめておくと良いです。私は基本的に、クルマで一人で出かけることがほとんどなので、ほとんどの機材はクルマに入れっぱなしです。長靴とか脚立とかテーブルとか、大きなものも小さなものも、クルマには予備も含め、けっこう色々なものを積んであります。

撮影機材はたくさんあるので、チェックリストを作ってあります。星景写真撮影は、誰もいない山奥や海沿いに行く事が多いので、例えコンビニやホームセンターが現地近くにあっても調達できないものがあります。乾電池やSDならなんとかなりますけどね。代表的なのはカメラのバッテリーですね専用品なので、さすがにコンビニどころかホームセンターでもないでしょう。これ忘れてると致命的。まあ、最近はモバイルバッテリで給電できますけどね。

様々な撮影を予定していると、チェックリストを作ってやらないと、たいてい何か肝心なものを忘れます。私の場合はライトやルーペを忘れると結構、致命的ですね。まあ、クルマにはリーディンググラスや予備のライトはあるんですが。三脚や雲台の数が足りない、なんてのも致命的です。私は冬にどうしても三脚が一本足りなくて、脚のある一脚で撮った事がありますが、やはり倒れてしまいました。

通常の機材準備が必要なのはもちろんですが、構想によっては、別途必要な小物もあります。例えば、このような写真では、鳥籠を買いました。

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先の水晶玉も買ったものです。人工水晶ですが、大きいので、そこそこの値段がします。小さいのも持ってますが、いわゆる宙玉写真になってしまうので、ほとんど使わないです。ランタンとか衣装とか楽器とか、私の作品では結構、色々なものが必要な場合が多いです。

4 ロケハン

撮影場所に実際に行くロケハンは、もちろんとても大切です。ロケハンというのは「ロケーション・ハンティング」の略で、撮影する場所を確認するだけでなく、「下調べ」をすることですね。実際の撮影を思い浮かべて、撮影が計画通りスムースに進められるように調べるということです。

ストリートビューなどで道などの様子はわかりますが、撮影する現地の様子は、やはり行ってみないとわからないところがたくさんあります。一つの例ですが、ここで星景写真を撮ろうと、行った事があります。

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ストリートビューで見てみると、この道のこのあたりから撮れそうですよね。

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現地に行ってみると、道はストリートビューのイメージ通りでした。ですが、ビューよりもずっと木が生い茂っていて、見える場所がほとんどありません。なんとか撮れそうな場所を見つけましたが、右の方にストリートビューではよくわからない旅館かなにかがあって、そこの灯りがかなり強烈に照らしていました。結局、撮影はあきらめました。

星景写真のロケハンは、ただロケハンに行くだけではなくて、明るいうちにロケハンをして、暗くなってきたらそのまま撮影に入る事がほとんどだと思います。たいていは遠いところですからね。ロケハン「だけ」に行くなんてもったいない事は出来ません。

明るいうちのロケハンで、色々な事がわかると思います。暗くなってから行ったのでは、わかりにくい事も多いですし、危険な場所がわからなかったりします。特に、初めて行く場所では、明るいうちからのロケハンは必須ですね。電線など、夜だと暗くてわかりにくいものの確認も出来ます。

風景だけではなく、方位や山の高さなども確認して、目的とする星空が、何時にどこにあるかも知らねばなりません。星空は家でパソコンなどでも調べて計画出来ます。地形と連動出来るものもあるので、かなり綿密に現実の風景との撮影をシミュレーション出来ます。私は、昔は「天体山望」というシミュレーションソフトを購入して使ってましたが、もはや地図データがありません。いまでしたら、例えば、「ステラナビゲーター」などで地形とともにシミュレーションができるようです。

現地では、スマホアプリが結構活躍してくれますよね。電波繋がらないところもありますから、あまり過信しても困るんですが。スマホアプリはこちらで紹介しました。星景写真撮影のためのスマホアプリ(iOS)100円の有料になってますが、一部、批判ととらえられかねない内容があるためです。Youtubeでは差し支えない内容で、かなり紹介しています。

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星景写真の撮影では、準備がとても大切です。撮影自体も、カメラやレンズなど機材の設定がとても大切です。私の講座、入門編なんかでも撮り方は詳しくお教えしていますが、肝心な撮影の話でも、そのほとんどは設定の話ですね。構図も含めて。だって、準備、設定が出来れば、撮影方法って、シャッターを押すというだけですもんね。

皆さんもぜひ、準備に時間もかけて、しっかり計画してください。ただし、現地でいざ撮影、という時に、モタモタしていてはいけません。夢中で撮影していると、星空は思いのほか早く動いていくことがわかります。予定していた構図で撮影出来る時間って、実はごくわずかですよ。星景写真でも、シャッターチャンスを大切にしましょう。


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