見出し画像

ジャズを軽く聴き始めたい人への軽い名盤紹介②(ソロピアノ編)

こんにちは。
前回はノリノリ全開の Zoot Sims のアルバムのご紹介でした。
今回は少し秋っぽい、愁いを帯びた名盤を探してきました。ソロピアノの作品2枚です。

初心者が入りやすいソロピアノ作品としては、キース・ジャレットの『The Melody At Night, With You』(1999年)はおススメです。

1. I Loves You Porgy 

2. I Got It Bad and That Ain't Good 

3. Don't Ever Leave Me

4. Someone to Watch Over Me

5. My Wild Irish Rose 

6. Blame It On My Youth 

7. Mediation 

8. Something to Remember You By

9. Be My Love 

10. Shenandoah 

11. I'm Through With Love

この作品は、極力アドリブを廃し、原曲の持つ美しいメロディーを生かした演奏がなされています。個人的には一曲目の「I Loves You Porgy 
」が好きです。
この曲はビル・エヴァンスも数多く録音していて、かの有名なアルバム『Waltz for Debby』にも収録されています。
インタープレイで有名なこのアルバムですが、この曲だけはメロディーの美しさに気圧されたのか、スコット・ラファロ(ベース)も無駄な音は出さずに、ピアノの美しいメロディーを生かした演奏がなされています。

話を元に戻しましょう。この『The Melody At Night, With You』は、キースの長年に及ぶ「慢性疲労症候群」という病との闘いが終わり、復帰作第一号として発表され、話題となった作品です。
全曲がBPM50前後かそれ以下の速さで弾かれていて、ただのムード・ミュージックと捉える輩も少なくはなく「甘い」「手ぬるい」との批判も多くありましたが、病からの復帰の挨拶としては最上のものではないでしょうか。
とにかくキースが弾けば、なんでもジャズになる。それで良いではありませんか。


もう一枚、極上のピアノソロ作品をご紹介します。
ハービー・ハンコック『The Piano』(1979年)

1. My Funny Valentine
2. On Green Dolphin Street
3. Someday My Prince Will Come
4. Harvest Time
5. Sonrisa
6. Manhattan Island
7. Blue Otani

この作品は、日本で録音・制作されたものです。ハービーにとっては唯一のソロ作品となります(今後制作される事がなければ)。
この作品が発表された1979年は、ハービーにとっては多忙な年でした。
日本のシンガー、笠井紀美子との共演アルバムや、チック・コリアとの共演アルバムの制作、そして自身のアルバムも2枚、この年に発表しています。
日本で録音・制作されたという事は、笠井紀美子さんの関係で来日していたのでしょうか、詳しいことは分かりませんが、その多忙さの合間を縫って、この奇跡的に美しいソロ作品が録音されたのです。

1〜3曲目はスタンダードナンバー、4曲目以降はハービーのオリジナルです。
全曲、非常に美しい、というのが正直な感想です。ピアノっていうのはこんなにも美しい旋律が出せる楽器なんだと、改めて感動を誘う作品だと思います。
1曲目の「My Funny Valentine」と2曲目の「On Green Dolphin Street」は、良い意味でちょっとだけいじり過ぎたような感じもしますが、全体的には美しく仕上がっていますね。
そして4曲目の「Harvest Time」から5曲目の「Sonrisa」への流れは美しいとしか言いようがありません。鳥肌が立ちます。

このアルバムの唯一の弱点は、全体で38分しか無いというところです。
短い、短すぎる! ハービーよ、もっと聴かせてくれ! という気持ちになります。
別テイクが21分収録されたCDも存在しているようですが、Amazon で見たところ中古品しかなかったので、当たればラッキーという感じです。

話は逸れますが、別テイクを載せるというのはどうなんでしょうね。
ミュージシャンにとっては作品としてのコンセプトが崩れてしまう、という感じにはならないのでしょうか。
ファンからすれば嬉しいかもしれませんが、僕は必要ないんじゃないかと思っています。

ということで、今回はソロピアノ作品二枚をご紹介しました。
他にもピアノソロ作品でオススメしたいものは沢山あります。
今日出てきたキース・ジャレットでは超名盤『ケルン・コンサート』

奇跡のインプロビゼーションと言われています。
キースには沢山のソロ作品がありますが、僕の苦手なフリースタイルの演奏が入っていたりで、今一つオススメできないものが多いのです。『ケルン・コンサート』は全体的にリリカルであり、自信をもってお勧めできます。

他には、ビル・エバンス『Alone』
セロニアス・モンク『Solo Monk』
モンクも数枚のソロ作品がありますが、この作品は特にスタンダード曲が多く、一番聴きやすいと思います(一応、『セロニアス・ヒムセルフ』が名盤とされていますが、僕にとっては聴いててあまり面白くない)。


次回は、さて、どんなテーマでいきましょうか。
次回はトランペットの名作にしましょう。

最後までのお付き合いありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?