ジャズを軽く聴き始めたい人への軽い名盤紹介⑫『矢野顕子×上原ひろみ – Get Together-LIVE IN TOKYO-』
個性と個性の共同作業
こんにちは!
今日ご紹介したいのは、今までとはがらりと趣向を変えて『矢野顕子×上原ひろみ – Get Together -LIVE IN TOKYO-』です。
さてこの作品、それぞれの方面で大活躍中であり才能に満ち溢れた二人の共演です。悪かろうはずがありません。こういった企画物のアルバムって決して嫌いじゃない。
期待を込めてCDを再生してみましょう。
『矢野顕子×上原ひろみ – Get Together -LIVE IN TOKYO-』
楽曲の良さと上原のアドリブが見事にマッチ!
曲目は全部矢野顕子さんのオリジナル曲。
いきなりこの曲の聴きどころがやってきます。一曲目「CHILDREN IN THE SUMMER」(作詞:糸井重里 作曲:矢野顕子)。
夏休みの子供たちの情景を歌っているので、どこか牧歌的な感じがする曲のはずです。始まりはそんな感じです。しかしだんだん盛り上がってきて上原さん大疾走! それをサポートする矢野さんも実に上手い。一曲目からそんなに飛ばして大丈夫か?
大丈夫です。百戦錬磨のお二人ですから。
そんな感じで始まるこのアルバム、集中して聴いているとあっという間に時が過ぎてしまいます。
上原さんも持っているテクニックは出し惜しみせず、ジャズの有名なフレーズを時々散りばめながら全力で曲と向かい合っています。特に右手でトリルをしながらのバッキングに左手でメロディーを紡ぎだすテクは、聴いていて鳥肌もんです。
一曲だけ、しっとりとした曲を聴いてみましょう。曲は四曲目の「Lean on Me」です。
全体を通して感じることは、二人で何度も打ち合わせして練習したんだろうな、と思う所です。しかし、ジャズはなんといってもアドリブ命! 二人のアドリブ合戦、とまではいかず、そこは上原さんが主に担っていますが、しかし、それをフォローする矢野さんもやはりまた怪物。
こうしてアルバムは進んでいき、最大の聴きどころは、7曲目の「りんご祭り ~DON'T SIT UNDER THE APPLE TREE~リンゴの唄」。
グレン・ミラー・オーケストラの演奏でも知られる「Don't Sit Under the Apple Tree」。この曲に、矢野さんは「リンゴの唄」を足してアレンジしています。圧巻は上原さんと矢野さんのアドリブの絡み合いと、エンディングに聴かせてくれるグレン・ミラー・オーケストラのエンディングのフレーズをそのままピアノで演奏する部分。いやー凄いですね。ゾクゾクきましたよ。
そしてラストの曲は「ラーメン食べたい」。イントロは、マイルス・デイビスの 「So What」 です。この有名な曲のメロディーに乗って「ラーメン食べたい ♪、チャーシューはいらない ♪」と歌う矢野さん。もはやカオスです。
こうして激しく、時にまったりと聴かせてくれ、しかもユニークで楽しめるアルバムにはそうそう出会えません。
この二人、『ラーメンな女たち -LIVE IN TOKYO-』という2作目も出しています。
3作目も出ないかなーと思う今日この頃です。
今回も最後までお付き合い、ありがとうございました。
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