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ストレスも仕事も、「問題解決」は小さいところから始めるのがコツ

最近はストレスケアの方法論について勉強しているんですが、「ストレス軽減ワークブック」という本が体系的かつ分かりやすくその理論と方法論を整理しており、とても良いです。

ストレスに対処するための問題解決法

この本で、ストレスにうまく対処していくための「問題解決法」が紹介されており、そのステップを以下5つでまとめています。

ステップ1 - 問題を認識する
ステップ2 - 解決すべき問題を選び、明確にする
ステップ3 - ブレーンストーミングによる解決
ステップ4 - 可能性を絞る
ステップ5 - 行動計画を立てて、実施する

まず問題を認識、定義し、どこから解決すべきかを絞り込み、さまざまなアイディアを出しながら、具体的な行動に落として実行する。こうしたビジネスで必要とされる「問題解決」と、ストレスケアの方法論が、同じ構造をしているのが興味深いです。

そして、これはまさに私がカウンセリングを通じてストレスへの対処法を身につけていき、それを仕事の現場で実践して感じたことと非常に近いです。

「ストレス」というと、なんだか形がはっきりしない、どう対応すれば良いか分からない、得体の知れないものという感覚をつい持ってしまいますが、私がストレス対処の実践を通じて学んだのは、ストレスも形にできるし、そのことによって具体的に解決にむけて対応してくことができる、ということでした。

やさしく、小さな問題からはじめる

この点に関しては、特に「ステップ2:解決すべき問題を選び、明確にする」が興味深いです。

そこでは、どの問題を取り上げるべきかのヒント、として以下の4つのポイントが挙げられています。

1. やさしい問題からはじめる
2. 何とか自分の手におえるように感じられる問題から始める
3. 実際的な問題から始める
4. 優先順位を考える(本当にその問題は緊急度が高い?)

ストレスを感じている時は、問題を大きく難しく捉えがちです。その時に、ここで整理されているように、やさしく、身近で、手をつけやすいものから対処していくのは、ストレスをうまく処理するためのコツです。

例えば、華々しく他業界で活躍する友人を見て、将来のキャリアについて思い悩み、今の仕事が急に色あせて見える時。

そんなときこそ、いま目の前で担当している「小さな」「自分でなんとかできる」仕事に集中することが大事だったりします。「キャリア」みたいな大きな話にいきなり関心を向けるのでなく、いま自分が実際に手を付けられる、具体的な仕事に集中して成果を出していく。このことを繰り返していると、そこにリズムが生まれ、結果的にそれが自分の道を作り出していくきっかけになっていくことは多いです。

そして、この問題解決のコツは、経営でも見落とされがちな点です。

思うように事業が伸びない時に事業責任者がやりがちなのは、「戦略と組織をいじること」です。

事業を一気に伸長させてくれるような素晴らしい戦略が欠けているのではと社外のコンサルタントを雇ったり、社内に特別なプロジェクトチームを作ったり。今の組織体制や管理職に問題があるのでは、と、新しい組織を作ったり、管理職に新しい人を置いてみたり。

あるあるですよね。でも、こういう場当たり的で、「大きな」問題を一気に解決しようとする施策が上手くいくことは、私の経験からも少ないです。

というのも、事業の問題解決もやはり、「やさしく」「手をつけやすい」「実際的な」問題から始めるのがコツだからです。

例えば、契約高が伸びていない時。そこで現場を見てみると、日々の営業動向はCRMツールに全く反映されていなく、しかもその状況は放置されており、管理職とメンバーは「それっぽい」打ち合わせを繰り返しながら、結果的に顧客に本当に求められる営業活動ができていなかったりします。

そんな時に、戦略や組織をいじっても効果はありません。ひとつひとつの商談やフォローアップの具体的な活動をきちんと可視化して、それを地道に改善していくことで、小さい契約を積み上げていく。この「小さな」活動から生まれた成果をもとにして、その先に本当に必要な戦略や組織を描いていく。このサイクルを回していけるかが大切で、いきなり大きな問題を解こうとしないのは事業の鉄則です。

ということで、個人としてのストレス対処と事業運営というのは意外に共通項が多く、そこに気がつくことは色々なヒントを与えてくれます。ぜひ意識してみてください!

★ボーナス・トラック★
「戦略と組織をいじること」で全くうまくいかなかった事例について、私が見た実際の組織について詳しく書いています。

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