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ストレス解消法をたくさん持ってストレスに強くなろう

前回は悩みの問題解決の手法である「認知再構成法」について説明しました。自分が悩んでしまう時に、様々な視点から自分に「ツッコミ」を入れられるようになること、が大切なポイントでした。

一方で、自分の悩んでしまう状況や感じたことをメモして、それを「ひとり」で多様な視点から眺め直す、というのは少しハードルが高いのも事実です。私の場合も、最初はなかなかうまくできずに、慣れるまで数ヶ月の時間が必要でした。

そこで、今回はもっとシンプルで分かりやすく「ストレス対処法をたくさん持っていることが自分を助けてくれる」という話をしたいと思います。

心理学では「コーピングレパートリー」という概念を使い、「コーピング=ストレスに対する意図的な対処」の「レパートリー=数」を増やすことがストレスをコントロールする上で大切である、と説明しています。

ストレスを感じた時に、友人と美味しいご飯を食べに行ったり、好きなものを買ったり、ソーシャルゲームをやったり、漫画を読んだり、ジムに通ったり、など人は自分なりのストレス解消法を必ず持っています。

そして、心理学的ストレス研究が明らかにしているのは「できるだけ幅広く多様なコーピングを使える人が心身ともに健康である*」ということです。そして、その時大切になるのは「どのコーピングが良くて、どのコーピングが悪いということはない」という点。

つまり、どんなに些細なことでも、他人からしたらよく理解できないものでも、「自分にとってこれは効果があるな」というストレス対処法をできるだけたくさん持っていれば、ストレスへの対応力が上がっていくわけです。

コーピングレパートリーをたくさん持とう

例えば最近の私の「コーピングレパートリー」には以下のようなものがあります。

・子供の寝かしつけのあとにお菓子を食べる
・朝起きてすぐ熱いシャワーを浴びる
・大好きな本屋に行く
・Kindleで漫画を読む
・晴れた日に緑の多い道を走る

私はいま二人の娘(3歳、0歳)の育児の真っ最中で、毎日定時にオフィスを飛び出して、そこから娘たちのお迎え、夕飯、お風呂、そして寝かしつけまで妻と一緒に協力しながらバタバタとこなす忙しい毎日です。

なので、娘たちが寝静まった後が、一日で唯一のほっとできる貴重な時間で、そこでひとりでキットカットやハッピーターンといった好きなお菓子を食べながら、ツイッターを眺めてぼうっとすることが最高のストレス解消、つまりコーピングとなっています。

また、私は冬がすごく苦手です。朝起きて寒さで身体が冷えていると、気分まで落ち込んできて、そのまま一日暗い気持ちで仕事にも集中できなくなることがよくありました。

これを防ぐために、朝起きてまず最初に熱いシャワーを浴びて、身体を十分に温めるようにしたところ気分も明るくなり、やる気が湧いてきて、仕事もうまくこなせるようになりました。

そして、少し時間ができた時に、ビジネスから海外小説、ノンフィクションや人文科学まで幅広いジャンルの本が集められた大きめの本屋に寄って、新刊本や面白そうな本を探していると自分の好奇心が満たされてわくわくしてきます。好きな漫画を見つけたらそれをKindleで一気読みしていく時も、難しい仕事のことも忘れてその世界に没頭できるのでとても良い気分転換となります。

私のストレス対処法はこれ以外にも細かいものを含めてたくさんあり、上記したように「できるだけ幅広く多様な」ストレス対処法を持っておくことはとても重要です。というのも、ストレス状況や悩みのタイプというのは多様で、それらを全て解決してくれる対処法というのは存在しないからです。

よって、その時の状況や悩みに合わせて、自分の気持ちを切り替えてくれたり、嫌な気分を忘れさせてくれるコーピングレパートリーをたくさん持っていることで 、様々なタイプの悩みへの対応力が高まります。

これに関連して、コーピングレパートリーを持つことの重要性を示すエピソードをもう一つ紹介しましょう。

私がまだ認知行動療法のカウンセリングを受けておらず、コーピングという概念も知らなかった頃のことです。あるプロジェクトでうまく成果を出せていなかった私は、顧客側の責任者に毎日のように激しく叱責されていました。

精神的に本当に追い込まれた私は、家に帰っても暗い気持ちを常に抱えていました。そんな時に私を支えてくれたのが「すべらない話」のDVDでした。

いくら絶望的な気分になっていても、お笑い芸人達のエピソードを聞くと心から爆笑することができたし、見終わった後には少し気が紛れて楽になっていました。

もちろん「すべらない話」を見て爆笑しても、プロジェクトでうまくいっていない、という現実は変わりません。でも、DVDを見ている間だけはその過酷な現実をすっかり忘れて大爆笑することができました。そのおかげで「なんとか明日も頑張ろう」と少し前向きになれたことを覚えています。このように、「自分がいいと思う」コーピング手段をたくさん持っておくことは、多様なストレス状況に対応していく上でとても効果があります。

コーピングレパートリーを書き出してみよう

具体的にやってみることをおすすめするのは、自分の「コーピングレパートリー」を思いつくだけ書き出してみることです。

ストレス対処法とは自覚していないけれど、それがストレス解消につながっていることは案外多いです。私の場合だと、日曜日の午前中に必ず風呂掃除をするのですが、見えにくい場所にある黒カビをみつけてそれをゴシゴシとブラシでこすってきれいにすることが、いいストレス解消になっていることにある日気がつきました。汚れが落ちてその後が白くなっているのを見ると、気持ちまでスッキリするんですよね。

こうした自分だけのストレス対処法をリストとして「可視化」しておくと、悩んでしまった時にそのリストを眺めて、これやってみようかなと思えたりして、悩みの解消に能動的になるきっかけとなります。

自分の好きなノートに手書きでも、Excelでも、スマートフォンのメモアプリでも、なんでも使いやすいものでまずは思いつくものをぜひ書き出してみてください。

例えば、私の友人は、iPhoneのメモ帳アプリに自分のストレス対処法をずらっと書き出しています。スマートフォンは常に携帯しているので、空いた時間に自分のストレス解消法を眺めたり、新しいものが浮かんだ時はその場で加えていっているそうです。とても良いアイディアですよね。

また、私のツイッターアカウントでこんなツイートをしたところ大きな反響がありました。

ぜひこのハッシュタグ「#みんなのコーピング」を見ていただきたいのですが、多様なバックグラウンドの方が、自分のストレス対処法をたくさん紹介してくれています。

本当に色々なストレス対処法があって、自分でもやってみたいなと思うものがありますし、何より面白いのは、何人かの方がツイートしているように「眺めているとなんだか癒されてくる」ということ。みんな色々な手段でストレス解消してるんだなあ、と共感できるんですよね。

ぜひこの#みんなのコーピングも参考にして、自分のコーピングレパートリーを書き出してみてください!悩んでしまった時にうまく対処するための「自分だけの」方法論になってくれるはずです。

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