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デジタルな君へ

かれこれ起業してから12年になります。シンガポールで起業し、その後インドネシア、マレーシアでも事業を立ち上げ、日本に帰ってからもう6年以上過ぎてきました。

12年もやっていると、いろいろとハードシングスは当然あるわけですが、「ショック」な出来事というのは、思い返してみるとそんなにないかなと思ったのです。

でも、今年、2024年、そのショックな出来事というのがありました。


何かというと、5年以上共に戦ってきたエンジニアが退職するというのです。

転職先は、C2Cの取引をする日本最大のプラットフォームM社。

うちの会社のメンバーは、お陰様でみんな在籍期間が長く、5年以上のメンバーが大半を占めます。

そんななかで、その話を聞く。

喪失感とショック。どーんと、胸に大きな穴が開くのを感じました。

私とエンジニアは10歳以上歳も離れ、お互い話すのがそんな好きなタイプじゃないんで、腹を割って飲み明かす、なんてことはしたことはない、そんな関係でした。

でも、何か通じ合うものがありました(私の勝手な思い込みですが)。
どういうところかというと、

  • ああ、明日までにここの開発が終わらないかな・・・

  • ああ、これ緊急なのでどうにかならないかな・・・

  • ああ、これがこうなってくれたら面白いのにな・・・

そう思っている時に、度々、夜中の1時や2時にSlackが飛んでくるのです。「この件、動くようになりました」とサラッと。私は何も言ってないのにもかかわらず。何度も、こんな体験がありました。

私はこの5年、彼のことを「静かなるファイティングスピリッツを持つ男」と勝手にそう呼んでました。

そのスタンス。スピリッツを持ってるところが、大好きだった。助けてもらった。Googleベストオブ2020を獲ったのも、グッドデザイン賞を獲れたのも、超DXサミット最優秀賞を獲れたのも、そんな静かなるファイティングスピリッツによって、開発されたものがあったからでした。

しかも、退職日は意向を伝えられた日から3ヶ月半先でした。迷惑をかけたくないからという気遣いでした。本当はすぐに新天地でバリバリ自分を試してみたいだろうに。気を使わせてしまった。

彼なら、M社だろうが、Metaだろうが、OpenAIだろうが、どこにいっても一級品として通用するエンジニアだと思う。

不思議とこうは思わなかった「せっかく5年働いて、育てたのに、そんな大手に行ってしまうのか。うちの経験があったからこそ、大手に行くことができたんだ」

経営者仲間の話題では、せっかく育てたのに、という言葉をよく聞きます。

でも、私はそう思わなかった。ただただ、喪失感とショックがまず去来し、そして次のように思ったんです。

ああ、私の会社のミッションは、「テクノロジーの力で世界を1mmでも良くする」だ。あいつもうちの5年間の経験を通じて得たものを武器に、今度はM社で世界を1mmでも良くするべく戦っていくんだな、と。

ぜひ、驚かしてやれ。スーパースタートアップで働くエンジニア達を。おまえならそれが出来る。

これまで助けてくれたことには感謝しか感じない。

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Noritaka Kobayashi, Ph.D/小林慎和
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