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免疫空間・免疫住宅

住宅は本来、人々を健康にするカプセルでした免疫から考える住居空間

どこにも無かった治療院の計画

-その1-

2020年はコロナ禍の中で世界は停滞していました、意味もわからず出口も見えない状態の中で世界中の多くの人々も、私自身も低迷の中で喘いでいました。

そんな中、街を歩いている時に10年前に造った治療院のオーナーに偶然逢いました。コロナ禍の中で緊急事態宣言や行動の自粛などで久しぶりの再会でした。

「如何ですかこの頃は」

としばしの立ち話

「あれから10年してこのコロナ騒ぎ、私の治療院はお客様が減ることは無かった、こんな時でも安心して施術がしてもらえると喜ばれている」

「そうなんだ、それはよかった」

「あなたは10年前に最高の免疫空間を造ったよ、これで病気にならない治療院になったと言っていたけどその通りになったね」

「そう言ってもらえるとうれしいね」

「自分の考えは10年早いので誰も理解しないと言ってたけど、この状況、コロナ騒ぎを予知していたの?」

私は予知能力者ではなく建築家なので未来のビジョンが明確に視えるわけではない。
しかし、家は病気にならない、健康でいられる空間として求められることはわかっていました、それもできる限り自然な方法で。


彼女は先代より続く治療院を受け継ぎ、十人を超える女性治療師を抱える市内でも有数の治療院を営んでいました。そして画家でもあり、これまでに何度も個展を開いておまけに美人。

その彼女から、創業50周年と受け継いで3年が経ったので治療院を改装したいけどどうしたらいい?と相談を受けたのが10年前のこと。

「これから治療院に求められるのは、免疫力を高める空間で入った途端に悪いところが治ってしまうような空間だろうね」

「えっ、入った途端に病気が治ってしまうの?」

ほら、今は学校も病院も、刑務所も看板が違うだけでほとんど変わりません、窓に鉄格子があるか無いかくらいの違いしかない。

学校は未来を造る子供達を育てる所だし、病院は傷ついた心や身体を治す所で、刑務所は自分の侵した罪を反省する所でしょ。

それぞれに役割が違うのに建物が同じであっていいわけがない、これからはそれぞれの役割にあった建物が必要です。

治療院は本来人間に備わっている免疫力を活性化する空間であるべきで、そこで治療、施術すれば患者さんへの効果は高まります。

現在ある多くの治療院はまるで貸事務所の一室に治療ベットを置いて施術している所がほとんどです。経済効率を考えれば場所代が安く数がこなせるので、クイックマッサージや疲れを緩和するならいいのですが、本格的に心身の治療をするには向きません。

これから10年もすれは、住空間で免疫力を高める必要性を誰もが考えることになります、それを見据えて本当に心身を癒す治療院を造ってみない。

50年の歴史と受け継いだ先代の意志、多くの常連のお客様に喜ばれる治療院を造ってみない。

きっとこれからの治療院の指針になると思うよ。

面白そうね

と、新しい治療院の計画が始まった。

どこにも無かった治療院の計画

-その2-

つづく


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