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B線TNS日記 57 なわとびぴょんぴょん

某月某日 TNSにて

私が小学生の頃、冬の体育の定番はなわとびだった。

前まわし、後ろまわし、あやとび、二重まわし。何種類もの技にそれぞれの目標回数が記された「なわとびチャレンジ表」的なものが毎年配られ、技と回数の交差するマス目に赤や青の丸いシールを貼っていた記憶がある。

ゲームやYouTubeも無かった時代、季節にかかわらず、暇で遊び相手がいない時には自宅の屋上に上がりなわとびをしていた。黄色やピンク色のキラキラと輝くゴムなわを持ち、一心不乱に跳んでいた。あの単調な遊びの何がそんなに楽しかったのだろう。もしかしたら同じリズムでずっと跳ね続けることで一種のトランス状態に陥っていたのかもしれない。そんな風に過ごしていたので、自然にいろいろな技を習得していった。なわとびチャレンジ表はどんどんシールで埋められていった。

30年以上が経った冬の日、次男がなわとびを始めた。幼稚園の体操の時間に習うとのこと。全く跳べないと悩む次男と何度も公園で練習したけれど10回以上はなかなか跳べなかった。幼稚園でのなわとびフェアが終わると、次男は練習したいと言わなくなり、なわは納戸の中にしまわれた。

今年に入り、1年生の学年だよりになわを持参するよう書いてあるのを見て、「またこの季節が来たな」と思った。次男がうまく跳べないことを嘆く日も近いと。案の定、夜寝る前に練習に付き合ってほしいと言ってきた。

今回は公園には行かず、マンション内にある駐輪場で練習することにした。そして、絶対にあきらめずに、1日で20回跳べるようになるまで練習をやめないことを母子で誓った。

初めのうちは数回しか跳べず、なわが悪いとか、足が痛いとかの言い訳をしていた。私は心を鬼にして、

「どういう事情でも、20回跳べるようになるまでは練習するよ」と言い放った。

すると、そこから次男の目の色が変わり、何度なわに引っかかろうと何も言い訳せずに練習を続け始めた。すると、何分か後には20回は軽く跳べるようになっていた。何日間か練習を続けた結果、今では50回以上跳べる。前まわしだけだけど。

このことから、物事をある一定以上のレベルまで習得するために必要なことは、

①(私の子供時代のように)それをやっている時は、脳内麻薬が出ている状態になってしまうほど楽しんで取り組めるか、それについて魅了されていること。

②(次男のように)それにあまり興味がなくても、絶対に出来るようにならなければいけない、逃げられない、と観念して真剣に取り組むこと。

このどちらかが必要なのではないかと思った次第。

なわとびぴょんぴょん。

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