B線TNS日記14 たらいがわれた
某月某日 TNSにて
夫が大学入学で上京した際に買ったプラスチック製のたらいが割れてしまった。30年もののたらいだ。
結婚してからも使い続け、普段は洗濯カゴ代わりにしていた。
長男も次男も新生児の頃はこのたらいをベビーバスにして入浴させていた。たらいの中でぷかぷか浮いていた我が子らが懐かしい。
その後もオムツかぶれしそうな時はこのたらいでお尻を洗った。
少し大きくなると、たらいを船や車に見立てて、この中に乗って遊んでいた。たらいごと持ちあげてゆらゆら揺らすと、きゃっきゃと喜んでいたのが昨日のことのようだ。
長男が少年野球を始めると毎週泥だらけの靴下やユニフォームを洗うのに大活躍した。
4年ほど前にもう3歳になった次男がいつものようにたらいカーに乗り込もうとして底にヒビが入った。ばきっ。
その時に捨てても良かったけれどなぜか捨てられず、洗濯カゴとしての用途に限って使い続けていた。
その後引越しをした時、引越し業者の方がこのたらいを運ぶ時に驚いていた。「このたらいひび割れてますけど…」
確かにひび割れたたらいは使いものにならないと思うだろう。破れ鍋ってやつだ。
先週長男がたらいを床に落とした。とうとう完全に割れた。
私と夫はすごく悲しんだ。いろいろな思い出が蘇ってきたからだ。
物はいつかは壊れる。仕方ないことだ。
新しいたらいを探しに夫と出かけたが、結局同じたらいをネットで買うことにした。
普通に使えば30年はもつだろう。もしかするとその頃には私たち夫婦はもうこの世にいないのかもしれない。
だとしたら長男か次男のどちらかの家で、孫やひ孫たちのお尻や汗臭いユニフォームを洗うのに使ってくれていたら嬉しい。
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