B線TNS日記42 きょうはハロウィン
某月某日 TNSにて
秋になると街のあちこちがオレンジ色に彩られるようになった。かぼちゃをくり抜いて作ったジャック・オー・ランタンや魔女、黒猫やがいこつなどのモチーフがそこかしこに飾られる。
夏が終わりきらないまだ暑い時期から、スーパーマーケットのお菓子売り場にはオレンジや紫、黒色の袋入りチョコレートやクッキーがずらっと並び、どの商品も「ハロウィン限定パッケージ」と銘打たれている。
渋谷や池袋にコスプレをした若者たちが集い、時には騒動にまで発展して大々的に報道されたりもする。
その経済効果も、クリスマスには遠く及ばないものの、ほぼバレンタインと同じ規模にまで達しているらしい。もはや国民的行事となっていると言ってもよいだろう。
でも、これっていつからなのよ?
少なくとも私が小さかった頃には、仮装して街を練り歩いたり、お菓子をもらえたりする「ハロウィンという行事」は日本には存在しなかった。いや、めちゃくちゃハイカラな界隈には既に存在していたのかもしれないけれど、千葉の私の故郷では認知されていなかった。
私がハロウィンという言葉を初めて知ったのは、小学生の頃に通っていた英会話教室でだった。アメリカ人講師のジーン先生(男性・当時多分40代)が10月のレッスン時に、このハロウィンという行事について説明したのだ。それを聞いても、私にはそのお祭りが一体全体どういうものなのか全く理解できなかった。
説明が終わると、ジーン先生は生徒全員をいったん廊下に出し、ひとりずつドアをノックして教室に入り、先生に向かって「Trick or Treat!」と大きな声で言うように指示した。私が恐る恐る小声でその魔法のような呪文を先生に投げかけると、先生は用意していたお菓子をくれた。もらえたお菓子はビスコか何かだったと思う。アメリカのお菓子じゃなくてがっかりしたのを覚えている。
その時は、この行事がのちにクリスマスやバレンタインのように日本人みなの知るところとなるとは想像もつかなかった。私の中では相当な奇祭扱いであった。
今年はこういった状況なのでハロウィンだからと浮かれている雰囲気はあまり感じられない。感染予防のためにバーチャル渋谷なるものが用意され、大人たちが若者たちに、渋谷に集まらないように注意喚起するのも目にした。昨日の夕刊では、ハロウィン用コスチュームの売れ行きは例年と比べて激減していると伝えていた。
それでも昨日はマンションのエントランスで小さな竈門炭治郎を見かけてほっこりしたし、今朝は高校生の長男がお菓子の入った袋を持って登校していた。「Trick or treat」対策らしい。仮装をしないのか聞いてみると、中学生時代の制服を着ていくとのこと。私服通学の長男にとっては制服がコスプレなのだと妙に腑に落ちた朝だった。楽しそうじゃん。
みなさんもHappy Halloween!!
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