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B線TNS日記52 ハッピーバースデー

某月某日TNSにて

昨日は長男の16歳の誕生日だった。おでんとバースデーケーキを準備し、家族でささやかなお祝いをした。

身長184cm、真っ赤に染めた髪でケーキを頬張る息子を眺めると、この子が何か月もの間自分のおなかの中にいたとは到底信じられない思いだ。

しかし、それは事実。

私は当時27歳、初めての妊婦生活は分からないこと、きついことだらけだった。願いは予定日になったら早めに、そしてあまり苦しむことなく出産することだった。

しかし予定日から1週間後、安産とはかけ離れた壮絶なお産を経て、彼はこの世に生まれ出た。

小さいころはよく熱を出し、私から片時も離れられない、繊細なところがある長男だった。私もそんな息子が可愛くて、可愛くて仕方がなかった。いつか離れて暮らす日が来るんだと考えただけで、ひとり涙することもあった。

今や息子は私の言うことはすべてうるさい小言に聞こえるようで、まるで自分ひとりの力でここまで大きくなったかのような顔をして過ごしている。

私の方も、もっと子離れしなくてはと思いつつも、心配のあまり要らないことを言ってしまったり、いらいらとした態度を取ってしまうことも多い。

我が子が幼かった頃の、何かと手のかかる時期も確かに大変だったけれど、思春期を迎えてからの方が子育ては何倍も難しくなったと思う。

もう子供ではないけれどまだまだ大人にもなり切らない人間と対峙するのはなかなかエネルギーを使う。理不尽な理由で反抗され、疎まれ、甘えられる。

母としての胆力が問われる場面で、ずっこけてばかりである。

思い返せば自分も両親と同じようなドラマを繰り広げてきた。ある日、いつものように母と大喧嘩をした後、母がぽつりと16歳の私に言った。

「あなたも自分の子供があなたの歳になったらきっと今の私の気持ちがわかる。」

はい、その通りでございました。身に沁みてよくわかります。

何はともあれ、息子よ、誕生日おめでとう。16歳の君が楽しく健やかな日々を過ごせるように母は祈っているよ。ふたりで乾杯できる日まであと4年だね。

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