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ももクロというふるさと、クラポという居場所/いちごいちえを聞いて

(ヘッダは今のスマホに入ってるももクロ関係で一番古い画像がこれだったので……)

よく自分にはふるさとがないということを考えます。

父親に転勤が多く、それに伴って家族皆で街を移って暮らしてきたので、よく話に聞くようなまわりに親戚が大勢いて、周辺には両親の思い出の場所や母校があって、そして自分は言葉も文化もその土地のものに親しんでいる。そういうホームともいうべき、ふるさと。それが自分にはないし、そのことはうっすらとしたコンプレックスというか自身に欠落した部分だと、ずっと感じています。

けど、そんな自分の人生の中で、一箇所だけ強く思い入れをもてた街がありました。父も母も、兄も自分もその街が気に入り、結果、父親が出世と引き換えにその土地にとどまることを選び、それまで3年単位であちこちに暮らしてきたのに、結局10年ほどを過ごした街。

親戚がいるわけでもないし、両親の若い頃の思い出がつまっているわけでもないし、言葉も食事もその土地のものが自分に染み付いているわけではないけれど、仙台は自分にとって世界で一番大切な街になりました。

小学校の終盤から中学、高校、予備校とその街で過ごし、東京の大学に行くことになって(入試に数学さえなければ仙台に残ったのに……)新幹線に乗り、上野駅に降り立った(東京駅乗り入れ以前!)のは1990年の春のことです。れにちゃんでさえ(←失礼)まだ生まれてないですね。

山手線に乗り換え、目的駅のホームに降り、そこから大きなビルが並ぶ駅前、人がたくさん歩く様子を眺めて「これからここで生きていくのかあ」と感じたのはうっすらとおぼえています。

それまで自宅と高校の往復で、片側一車線の、バスやタクシーが来るとそれを避けるのも大変なような細い道を3年間通っていた身には、その道の広さ、人の多さは、「いよいよだな」と人生のスタートを感じさせるのに充分でしたし、「舐められないようにしなきゃ」と背伸びをさせてくれるような、そんなスケールにあふれていました。

結果、大学ではさまざまな経験、どちらかといえば悔しいこと、つらいことの方が多かったけど、楽しいこともうれしいこともあって、人生の糧となるようなことをたくさん積み重ねることができ、そして卒業することは叶わず「敗者」として社会に飛び出すことになりました。

そのあいだずっと新幹線に乗ればたった2時間(当時)でたどりつけるあの街の景色を思い浮かべていたし、帰りたいなと思っていました。けれど両親は自分が東京の大学に入ったあとに転勤を受け入れ別の街へ移ってしまい、あの愛すべき街に自分の居場所はもうありません。

大学中退なんて仕事を選べる身分でもないですから、東京で縁を得た場所で必死に生きていくしかなくて、ときどき仕事や遊びで行くことはありましたが、もう仙台は自分の中では思い出の街として引き出しの中にしまわれた街になっていきます。

そして2011年3月
自分が暮らしていた場所こそ……ではありましたが、それでもかつて訪れた場所、見たことある景色、よく耳にした地名が黒くて大きな脅威によって飲み込まれていく様子をテレビで見ることになります。

そこからしばらくは、引き出しにしまっていたはずのあの街のことをよく思いながら過ごします。募金を集めるための紅茶イベントを何度も開いたり、友人と連絡を取り合って必要なものはないか聞いたり、そういえばJリーグ再開初戦になったフロンターレとベガルタの試合を等々力競技場に見に行ったりもしましたね。
ふるさとではないけれど、自分にとってはすごく大切な街を思いながら送る日々。

もしかしたら気持ちもちょっと疲れてたのかもしれないですね。
自分の当時のツイートを掘り返してみると、ももクロの名前が初めて出てきたのはその年の9月2日でした。

まあ、その内容のセンスの無さはさておいて、詳しいことはおぼえてないけれど、タイミングからしてもきっとどこかで極楽門の評判を見かけて、それで検索して、動画を見てっていう流れだったんだろうと思います。名前はうっすら聞いたことがあったのかもしれないけれど、ももいろクローバーとももいろクローバーZの違いもわからず、なんでZがついたり、ついてなかったりするんだろうと思ったのは、なんとなくおぼえています。

で、ここから一気にももクロに飲み込まれていきます。

それはくたびれていた気持ちを癒やしたかった本能的な行動なのかもしれないし、何かに熱中したいと思っていた衝動の現れかもしれない。いずれにしても、それまでの人生ではなかったぐらいの勢いで一つの対象に熱中していきます。

「まずは自分の目で見てみよう」と思って、直近で取れたチケットが10月9日の「独占!ももクノ60分」。結果的に「第一回」となったベルサール秋葉原でのイベントですね。

そこそこの整番で女性エリアの直後というポジションを得て、なんか光る棒を持っていった方がいいらしいという知識のもとに、ドンキで買った(本来の意味の)サイリウムを持っていきましたが、なによりすぐそこのステージで髪を振り乱し、汗にまみれながら、楽しそうに歌い踊る5人のエネルギーに圧倒され、そして60分きっかりで曲をぶつ切りにするという見たことも聞いたこともないような演出に度肝を抜かれ、ますます引き込まれていきました。

そこからは行けるものには行きましょうといった感じ。
品川ステラボールでの男祭り、東武百貨店での労働讃歌のリリイベ、横浜BRITZでの(魂のシュプレヒ)コールツアー、さいたまスーパーアリーナでのももいろクリスマス、そして年明けの第2回ももクノ(ベルサール秋葉原)と立て続けにライブに参戦します。この頃からはずっとももクロのことばかり考えていた気がします。

とはいえファンとしては劣等生で、そんなに遠征とかはしませんし、自分の余裕のある範囲でしかライブには参加していないので、一都三県(東京・神奈川・千葉・埼玉)を出てももクロのライブは行ったことがない……と書いて、ああGOUNNツアーで仙台のセキスイハイムスーパーアリーナに行ってるわ(あーりんが階段でこけた回ですね)と思い出しましたが、でも東京付近を離れてももクロのライブに行ったのはそれ一回じゃないかな。その程度のほんとファンとしては劣等生です。

ただ、子どももおらず、仕事にもこれで名を成すぞと思うほどの熱意もなく、これといって特別想いを寄せるようなものもない中で、ももクロの存在は希望であり、夢であり、誇りであり、そしてふるさとでもありました。

日常的に聞く音楽はももクロばっかりでしたし、気分がつかれたときに想像することもれにちゃんや夏菜子ちゃん、しおりん、あーりんに関することばかり。空想の中でもそこに帰れば、自分が自分でいられるようなそんな場所がももクロクローバーZでした。
「でした」とか書いてると、まるで今は違うみたいだけど(笑)、今もももクロは、4人は自分にとって帰るべき場所でありつづけてくれています。

弱いところ たまにみせていいよ
ここでいいなら ここに
ここに 僕がいるから

ももいろクローバーZ「いちごいちえ

愛すべきももクロにそんな風に語りかけてもらえることほど、心強いことはないかもしれない。ももクロがそこにいてくれることがどれだけありがたく、うれしいことか。そこにいてもらうことができるのであれば、ずっと隣にいたいし、いてもらいたい。

人は自分がここにいていいんだろうかと感じることほど不安なことはないのではないかと思います。

慣れないパーティーに参加せざるを得なくなって、壁の花になる際の不安。新しい環境に飛び込んでも寄る辺がなくて、自分が歓迎されてないんじゃないかという不安。周りの人が誰も自分を見ていないようで、それでいて冷たい視線を感じるような居心地の悪さ。
いくつになってもそんな不安から逃れられない人生を送っているけれど、それでもももクロはそこにいてくれて、自分の存在をちゃんと肯定してくれる。「いちごいちえ」はそんなことをあらためて感じさせてくれました。

ももクロのおかげで、その後CROWN POPに出会うことができて、この5人もももクロの4人と同じく、ただのいちファンに過ぎない自分の存在をしっかりと見つめてくれるような、受け入れてくれるような存在で。
昨年、2011年にももクロにはまって以来11年ぶりにこんなにがっつりアイドルグループにはまったことに自分でもびっくりですが、全力のパフォーマンスで応えてくれるところ、自然体でやっているように見せて陰では一つひとつの歌、ダンス、トークに真摯に向き合い妥協せずに努力を重ねているところ(そしてそれを好んでは見せようとしないところ)、ステージ上の姿から一転、オフショットではただただわちゃわちゃとメンバーがじゃれあってかわいいところ。そんな数々の様子は、お姉さんによく似て正当で、真っ当で、実直で。
その姿は、心情を預けるに充分な信頼感をこちらへと届けてくれます。

そしてファン一人ひとりを大切に、それをまとまりではなく「個」として尊重し、向き合ってくれる姿勢はももクロ以上かもしれません。

それは資質とか性格とかそういうことではなくて、ファンコミュニティのスケールだったりSNSの進化という時代的な背景に依るところが大きいのだろうと思うけれど、CROWN POPの5人はひたすらに心を砕いて我々に寄り添おうとしてくれる。ももクロをふるさととする自分にとって、クラポはこれ以上ない居心地の良い、新しい土地になってくれています。

今はクラポのライブやイベントに通うことで手一杯(というか、それすら満足にできていない)だけれど、ももクロのライブにだってもっともっと行きたいし、4人がまばゆくきらめく姿をもっともっと見ていたいと感じます。

狭い路地で追い越しをかけてくるタクシーの運転手とケンカしていた高校生が、人も車も多くて、道もビルも大きな大都会へ出てきて。決して成功した人生とはいえないけれど、この新しい土地になんとなく馴染んで、なんとなく生きてきて、そこでももいろクローバーZが自分に出会ってくれて、たくさんの安心や勇気や感動をもたらしてくれ、そして今はCROWN POPが新しい想いをあふれんばかりの笑顔とともに届けてくれている。

誰に頼まれたでもなく、こうして自分の来し方を振り返ってみると、もうすぐ死ぬのかななるほど、そんなに悪くない人生だなと思います。
ままならないこと、望み通りにならないこと、気に食わないものが目に耳に飛び込んでくることはまあやっぱりいろいろあるけれど、それでもももクロとクラポがいてくれる。それに勝る幸せはないですね。

今朝(2023.4.21)からずっとこの2曲をループして聴いてる
寄り添う想いあふれる瞬間を描きながら、その姿勢を永続的なものにしていこうという決意にあふれている感じはすごく似ているなと思うし、ももクロ・クラポの2グループにふさわしいなと思う

彼女たちの笑顔に出会える時間を一期一会として胸に抱き、その積み重ねの先に、もっともっと豊かな人生、愛にあふれた時間がありますように。そして何より、れにちゃん、夏菜子ちゃん、しおりん、あーりん、そしてりなてぃー、いぶいぶ、さほるん、あいたん、みぃあちゃんが全員、最高の人生を送れますように。
客席の隅からこれからもそんなことを思い描きながら声援を届けていきたいと思います。

いよいよあさっては新宿ReNYで、かわいいクラポ、かっこいいクラポ、いろいろなクラポが見られるという「TIARA POP PARTY Season1」です。楽しみ!!

チケットは明日(4月22日)の23:59までtigetで購入できるようですし、2部のレディースチケット(無料・ドリンク代別)はまだ残っているようなので、福山に赴くことができなかった方、とくに予定もなく「クラポ見てみてもいいかなあ」と思う方は、ぜひぜひ西新宿へ足をお運びください。
そこに、もしかしたら、あなたの新しい居場所となるかもしれない、最高に素敵な5人が待っています。

そして、ももクロちゃんは春一、思いっきり楽しんで!!
ももクロの4人にとっても、いろいろ大変な準備を進めてくれてるスタッフの皆さんにも、福山市の皆さん、そして会場へ赴くすべてのファンの方。みんなにとって最高の二日間になりますように!!!!
東京から祈ってます!

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