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「君」の気持ちは離れていたのか?/あらためて聴く「初めての終わり」の世界

「初めての終わり」のMV

いろいろな解釈が盛り上がっていて楽しいですね。X(twitter)なんかで他の方の解釈を読むたび「なるほど、そういう捉え方もあるのか」「わー、たしかにそれは見落としてたなー」とか、いろいろいろいろ新しい発見があって、またMVを見に行きたくなって、そんで新しく考えたくなったりして、想像の無限ループを味わわせてもらっているようです。

それもこれも、クラポちゃんたちの素晴らしい演技と素敵な楽曲があってこそ。自分はこのMVは、ドラマの主人公であるいぶきの未来が失われた物語であると読み解きましたけど、当然違う読み解き方をしている方もいらっしゃるわけです。
ただ共通しているのは、悲しいあるいは切ない結末が訪れた「喪失の物語」であると見ている点ですよね。未来であったり、想いであったり、絆であったり。心や人生を形成する何かが失われた物語が、このMVにはあると捉えている方が大半のように思われます。

そりゃ、そうですよね。だってモチーフになっている「初めての終わり」が失恋の歌、恋人との別れをうたった曲で、その心情がすごく切なく描かれている曲なんですから。それを土台に作ったMVには喪失が描かれて当然です。

ってなことで、一回MVから離れて、あらためて「初めての終わり」の世界をあらためて見てみたいなと思うんです。
ちなみに歌詞は、YouTubeのコメント欄にクラポ公式さんが固定してくださっていますね。ありがとうございます!!


すれ違い始めた想い

CROWN POP「初めての終わり」

もういきなり悲しいですよね。歌のど頭から……けど、印象的なのはこの後です。

夕暮れの淡い光 包まれた帰り道

CROWN POP「初めての終わり」

恋愛関係にあって幸せの絶頂にあるなら、きっと世界が輝いて見えるはずなのに、世界の境界線がにじむような夕暮れの淡さだけが心に残る。もう輝く時間が見えてないんですよね。さみしい。
このあともずっとこうした切ない世界に満ちてますね。

「揃わない歩幅」もそうだし「放した手の温もり」も、「一枚ずつ花びら落としていく」カサブランカも「何度も季節は巡ってくるのに」戻れないあの頃も……。

心が締め付けられるような表現の連続で、二人の世界がまさに失われていこうとしていく様子がていねいに描かれていきますし、それをCROWN POPの5人がすごく切々と、そして美しく描き出してくれています。

でね、前から気になっているというか、こういう見方もあっていいんじゃないかなあと思っている部分が一箇所あるんです。サビの

愛しているの言葉を 聞くたびに寂しくて
君の優しい嘘は誰の為に?

CROWN POP「初めての終わり」

の部分。さらっと聞けば「君」が罪悪感に苛まれて別れを切り出せず、「愛している」と(見え透いた)嘘をついているという描写ですよね。けど、その奥にもう一つあるんじゃないかな、というか、あると考えたいな(あってほしいな?)と思うんです。

「君」は恋人と別れたいわけじゃなくて、実は別れたくないんじゃないか?
主人公から離れていく自分の気持ちに戸惑っているし、それをなんとか食い止めたいと思ってるんじゃないでしょうか。
とすると、「優しい嘘」は自分のためでもあり、二人のためでもあるんじゃないのか。

まさか相手から自分の気持ちが離れていくなんて想像もしていなかったし、今も認めたくない。「揃わない歩幅」も「放した手の温もり」も全然そうしたくてしてるわけではなくて、どうしても気持ちのタイミングが合わなくなっている。そのことに「君」はすごく困惑しているんじゃないでしょうか。

そう考えた場合、「優しい嘘」は決して罪悪感とかその場しのぎの誤魔化しなんかじゃなくて、なんとかもう一度二人であの輝いた世界に戻りたいと思う「君」の心の必死の抵抗であろうと……。

そう思いながらこの曲を聞くと、寂しさがさらに深まります。
一方的に別れを切り出されて、それを受け入れる主人公の想いだけではなく、惑い苦しむ中でなんとか「嘘」で時を戻そうとしたけれど、それがかなわなかった「君」の想い。つらい……

1番のサビ終わりでは「悲しみさえも抱きしめていた」かった心が、曲の終わりには「思い出は綺麗なままずっと抱きしめていた」くなってますね。「あの頃にはもう戻れない」けれど、悲しみまでも綺麗な思い出に変えて前に進んでいく二人。
輝かしい時間は失われたけれど、それでも人生は続いていきます。「喪失の物語」のその奥、その先に、私たちは何を見ることができるのか。

「初めての終わり」は本当に素晴らしい体験をもたらしてくれてるなあと思います。Haruka Mizuguchiさん(作詞)、網本ナオノブさん(作・編曲)の作家陣に、MVの制作陣の皆さんに感謝感謝です。そしてなにより、この素晴らしい世界を歌、ダンス、MVの演技などで表現しつづけてくれているCROWN POPの5人に、本当にありがとうと伝えたいですね。

「初めての終わり」に限らず、さまざまな曲を通じてCROWN POPは素敵な世界を見せてくれます。

#クラポかわいい 全国拡散ツアー
11月 4日(土)15:00開演@福岡DRUM Be-1
11月19日(日)15:00開演@広島LIVE VANQUISH
11月26日(日)15:30開演@仙台MACANA
12月10日(日)14:00開演@沖縄output(sold out)

12月28日(木)CROWN ROAD in Zepp Diver City(TOKYO)

と、今年もまだまだライブがつづきますので、ぜひぜひ生のCROWN POPが描き出す素晴らしい世界をともに楽しみましょう!!


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