Organizational Transformation Compass(組織変容コンパス)
もうな、これは今日、思いついちゃった。それで、これからいろんな方と議論してみたいと思っているのだけど、それはそれとしてとりあえず書いておかな。
ずっと世界をひとつの生命体としてとらえる世界観(いったん『生命体モデル』としておく)で、さまざまな活動を整理してきている。
例えば、Patagonia日本支社でつくってきた取り組みに『コンセンサス型戦略策定』と名付けた。Sustainability実現においてもその戦略フレームが優れており、参考になるものが多いコンテンツになっている。
しかし、今、自社の取り組みとしてコンサルティング事業を行っているのだが、『戦略』なるものをつくっていきたいかどうか、ずっと考えている。これは、自社について一般的な組織経営ではなく、生命体モデルや目指している社会との一貫性を考慮して、先回った組織デザインと組織経営を標榜しているからだ。
今日は、ザキさん(うちのコンサルタントの一人)と議論していたのだが、「戦略は、もともと軍隊で効率的に結果を得るために出てきた方法で、もしかしたら小さな各自自立した集団では必要ないのかもしれないですね」と。
小さな自立した集団という自社の感じと自分がイメージしている自社のモデルでは、「戦略」という概念をもつことで失うものがあると考えており、そのあたりを見極めて、やるやらないを判断したいという気持ちがあった。
一方で、Patagoniaはじめ、今、コンセンサス型戦略策定を導入している組織との一貫性はどういうことになるのだろうとずっと考えている。それを導入するよさは実感としてもあるからだ。一方でやらなくていいことをやるように促しているのだろうか、という問いに答えていく必要性も感じているからだ。
こうして思いついたのが、『組織変容コンパス(Organizational Transformation Compass)』だった。
何もないところから組織を生み出していく。その『無』から少しずつ組織が姿を現していく。だんだん規模が大きくなると、全体的な一貫性をつくる必要が出てきて、ミッション・コアヴァリュー・ヴィジョン・戦略などがつくられる。これが完全に整うところまでが第一相(First Phase)。
そこから社員が全員参加することに向かっていく第二相(Second Phase)。社員が全員参加でミッション・コアヴァリュー・ヴィジョン・戦略などをつくれる状態まで進む。
そこをひとつのピークとして、第三相(Third Phase)では徐々に自律分散型の取り組みが生まれてくる。そこのひとつのピークが組織内がほとんど自律分散的に運営されており、ミッション・コアヴァリュー・ヴィジョン・戦略などのほとんどをもたないで運営されている状態になるまで進む。
そこをピークに、いよいよ第四相(Forth Phase)になり、組織内外の境界が曖昧になり、次第に組織という枠組みすらも消えていく段階。そうして最初の何もなかった『無』に向かっていく。
このコンパスは、外側に組織構造があり、内側に生命力ポテンシャル(『組織エネルギー』?)があると考えており、生命力ポテンシャルが次の組織構造を導いていく。生命力ポテンシャルに合った組織構造への変容(Transformation)を行えるとさらに生命力ポテンシャルが上がっていく。生命力ポテンシャルが上がっているのに組織構造の変容が間に合わない場合、組織瓦解が始まっていく。
組織が生まれるとき、必ずしも第一相から移行していくわけでもない。
最初から第三相に取り組む組織もあるだろう。例えば今の自社の取り組みは、コンパスから眺めてみると第三相か第四相の両方を睨んでいる形で試行錯誤している感じがある。
Patagonia日本支社での取り組みは第二相だったのかもしれない。今、『コンセンサス型戦略策定』を導入し取り組んでいる会社では、第一相を極める前にそのプロセスでやるべきことを第二相で同時に重ね合わせてしているとも言えるかもしれない。
このようにコンパスは、仮説として自社の段階をとらえなおし、組織的に今後何に取り組んでいくことがいいのかを俯瞰して進める方策を与えるものである。
近年、自律分散型組織の議論が高まっているのだが、もしかすると第一相の組織が構造的に第三相に一足飛びにいこうとしているのかもしれないが、生命力ポテンシャルが十分でないために構造をいじっても機能化しないということが起こるのかもしれない。いもむしが蝶になりたくとも、それだけの生命力ポテンシャルが十分でなければ、さなぎのまでなれてもそのまま死んでしまうように。
生命力ポテンシャルを上げていくことが、組織変容コンパスでは重要であるように見える。ではどうやって生命力ポテンシャルは上げられるのだろうか。
Patagonia日本支社で実践してきた『コンセンサス型戦略策定』のエッセンスには『Integration Formula(統合公式;以下IF)』という考え方がある。そのことについてはいずれ詳しく書こうとは思うが、『IF』を導入して全員参加で意思決定していくことは、コンパスでいうところの生命力ポテンシャルを上げていく最良の方法であると考える。
組織構造に着目して変えていくことよりも、生命力ポテンシャルを見ていくことと組織構造をセットにすることで何からどう取り組むか明確に判断できるように思う。
殴り書きではあるが、このあたりは今後、近接領域の方々と議論して精度を上げていけるとうれしい。
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