会社の発展のため従業員に活躍してもらおう
弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
今回は、会社の発展のために、従業員に活躍してもらうという話をします。
創業して、会社の規模が小さなうちは、業務を改善する人又は発明者が社長だけということが多々あります。
しかし、それなりに会社が発展してある程度の規模になってくると、社長だけのアイデアに頼っていては、それ以上の発展は中々見込めなくなります。
ではどうするのか?
従業員に活躍してもらうのです。
中小企業にありがちなのが、社長が絶対的な権力を握っていて、又は社長しか会社を引っ張っていく人がいなくて、従業員からのアイデアが見込めないという状態です。
私なりに上記の様な状態の原因を考えると、従業員が活躍できる制度がないことが多いように感じます。
リーダーシップがあって声が大きい人は、制度のあるなしにかかわらす、それなりに活躍できるでしょう。
しかし、従業員全員が、リーダーシップがあって声が大きい人ばかりではありません。
そんな人ばかりだと、喧嘩ばかり起きそうです(笑)
普通の人や気の弱い人にも活躍してもらわなければ、会社の発展は見込めません。
そこで必要になってくるのが、客観的な評価制度です。
例えば、営業が主な業務である会社では、壁に各従業員の売上グラフが貼ってあると思います。
製造業であれば、数ヶ月毎に管理職との面談の場を設けて、目標や成果の確認をすることもできます。
あと、業種を限らずに言えば、毎月の業務報告書を提出してもらうこともできます。
でも、上記の施策より、もっと簡単な制度があります。
それは、改善提案とか創案制度と呼ばれているものです。
一般的に改善提案を取り入れている会社では、従業員あたり月2件の提出をノルマにしているところが多いと思います。
これらの改善提案の中身は、大抵が床にテープを貼って境界分けしたとか、棚にテプラ(登録商標です)を貼って見分けが付くようにしたとかのしょぼいものです。
しかし、中には光るものがあります。
これらのしょぼいものや光るものを、点数付けして評価するのです。
さらに、光るものを吟味して、特許出願に値するものがあれば出願するのです。
このとき、職務発明制度を用いて会社が出願人となるのですが、きちんと従業員にご褒美をあげることが大事です。
このご褒美は、経営者と従業員との双方が納得したものである必要があります。
金銭でも、教育の機会を無償で与えるものでも、有給休暇でも、出世でも、表彰でも、なんでも良いのですが、双方が納得する必要があります。
双方が納得しないと、後で揉める原因にもなります。
しかし、気をつけないといけないのが、発明者は往々にして自分の業績を過大評価することがあるのです。
例えば、ある発明で1,000万円の利益が出たとします。
発明者は、この1,000万円の利益はオレのおかげでできたと思います。
しかし、実際は発明を製品にするための開発部隊、製造ラインに載せるための生産設備部隊、良品を決められた数ほど製造するための製造部隊、できた製品を売る営業部隊たちの活躍があって初めて利益が出るのです。
はっきりいって、発明者だけではリソースが不足して何もできないことが多いのです。
さらには、発明者は、会社から給料をもらいながら、その勤務時間で発明をしているのです。
何も金銭的なリスクを取っていません。
お金を使ってヒトモノカネを動かして、リスクを取っているのは会社なのです。
これを、発明者にきちんと説明しておく必要があります。
その上で、発明者にご褒美をあげて褒めるのです。
私見ですが、中小企業だと、特許出願1件につき1万円くらいの金銭で十分ではないでしょうか。
さらに、朝礼の場などで表彰してあげれば、発明者は喜んでくれるのではないでしょうか。
特許査定となったときにも、追加でご褒美をあげてもよいでしょう。
そして、それを見た他の従業員は、オレも頑張ろうという気持ちになってくれるのです。
ちなみに、改善提案はしょぼいものであっても、100円くらいはご褒美があるのが普通です。
自らアイデアを出すことが難しい場合は、上司が課題を見つけて、それを数人のチームで解決するよう指示することも有効ではないでしょうか。
一般的に、課題を一人で抱え込むより、チームで対応する方が楽しいし気が楽だと思います。
また、異なる課題を違うチームにそれぞれ担当してもらって、競わせても面白いかも知れません。
このような制度を作って運用することで、従業員に活躍してもらうことができ、会社の発展につながるのではないでしょうか。
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
ホームページ http://www.sakaoka.jp/
Facebook https://www.facebook.com/sakaoka.norio
Twitter https://twitter.com/sakaoka
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?