スタートアップ企業が気を付けること
【稼ぐ経営者のための知的財産情報】
弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
今回は、「スタートアップ企業が気を付けること」について説明します。
新年度になりまして、気持ちも新たに仕事に励むという人も多いかと思います。
そこで、今回は上記のタイトルについて投稿します。
もっとも、既に何期も事業を継続している企業にも役立てる記事にしたいと思います。
スタートアップ企業で大事なことはたくさん有りますが、その中でも独自性と参入障壁は特に大事ではないでしょうか。
つまり、他社にはないアピールポイントがあって、さらにそれを他社が真似できない状態です。
独自性については、創業者自らが頑張ってもらうしかないです。
一方、参入障壁については、知的財産権によってある程度は構築することができます。
具体的には、商品名や会社名等を商標権によって保護して、技術的思想を特許で保護します。
さらに、外観も意匠で保護します。
このとき、着手する順序としては、自社だけで開発が完結するならば、商標→特許(意匠)の順番がお勧めかなと思っております。
理由は、商標の方が着手容易であり、出願までの期間が短いからです。
さらにいうと、商標は拒絶査定になったときのダメージが大きいことが多いからです。
例えば、製品やサービスの開発に注力して、先に特許出願(又は意匠登録出願)だけをしたとします。
そして、商品パッケージの発注段階になって商標を考え、出願したとします。
商標は指定商品の選択や、早期審査を請求するか否かによって審査待ち期間が変わってきますが、出願から6ヶ月程度のことが多いです。
すると、上記のタイミングで商標の出願をすると、商品が既に市場に出回っているころに、審査着手されます。
そんな状況で拒絶査定になったら結構なダメージです。
特に拒絶理由が他人の商標と似ているなんてことになると、目も当てられません。
一応、出願前に調査をしますが、その調査も絶対ではないため、最悪の場合は商品を回収ということになりかねません。
一方、特許の場合、私がお勧めしているのは、出願後に特許出願中の地位を4~5年引っ張ることで他人をけん制して、仮に拒絶査定になっても先行者利益を得ましょう、その間に市場シェアを取りましょうという作戦です。
さらに、製品改良をする度に新たな特許出願をしていきます。
そうすると、最初の1件が拒絶査定になっても極端に大きなダメージはありません。
もっとも、他人の特許権への侵害には気をつける必要があります。
あと、資金調達をするような場合は、特許出願中ではなく特許になった事実が必要になり、早期審査で決着を早くつけることもあります。
往々にして経営者の皆さんは、特許だけに目が行って、商標の出願をギリギリにしてしまうことが多くありますので、参考にしてもらえばと思って上記のことを書きました。
但し、これは開発が自社だけで完結する場合の話です。
他社の協力が必要で、情報を他社に開示する場合、特許出願を最優先にする方が良いと思います。
なぜなら、いくら秘密保持契約を締結していても、必ず守られるという保証はないからです。
情報を開示した相手先又はその関連会社が、開示された情報をもとに先に特許出願をしたなんてことはたまにあります。
開示先との力関係がはっきりしていて自社が支配できるとか、開示先の業務が全く自社と関係なく開示先が特許出願するメリットがないというときはまだ安心できますが、そうでないときは要注意です。
ですので、他社に情報を開示するときは、開示前に特許出願をしておく方が無難と思われます。
この記事が御社のご発展に役立つことを願っています。
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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