特許はすぐに取るな その2

坂岡特許事務所、弁理士の坂岡範穗です。

このタイトル、特許はすぐに取るな その2についてお話しします。
前回の「特許はすぐに取るな その1」
https://note.com/norio_sakaoka/n/n2cc992b162b0
で、特許は出願をした後にゆっくりと4~5年かけて権利化しましょうという話をしました。
そのとき、特許の権利化に必要となる費用を分散させることができるとお話ししました。

実は、費用に関するメリットとして他にもあるんですよ。
それは、いわゆる年金といわれる特許の登録料のことです。
特許というのは、登録になってからも毎年登録料、つまり年金を納めないと権利が抹消されてしまうのです。
この年金、最初は安いのですが、段々と値上がりしていきます。
いくらくらい変わるかといいますと、請求項の数や法改正によって変動しますが概ね次のとおりです。

第1年~第3年は、年間3千円~4千円くらい。
第4年~第6年は、年間1万円くらい。
第7年~第9年は、年間2万円~3万円くらい。
第10年以降は、年間6~8万円くらいです。

これに、事務所の手数料が追加されます。
事務所の手数料は1万円くらいのところが多いようです。
ちなみに、第何年というのは登録されてからの年数です。
出願してからではありませんので、誤解されないようお願いします。
あと、特許の存続期間は、出願から基本的に20年です。

さあ、どうでしょう。
出願してすぐに権利化した場合、この年金が高い第10年以降が早くやってきます。
そうすると、年金が高いから権利を放棄してしまおうということにもなりかねません。

次に、出願してからゆっくりと権利化した場合を説明します。
権利化までの費用は、急いで権利化した場合とゆっくり権利化した場合とでは変わりません。
むしろ、急いで権利化する方が早期審査の手続きの分だけ高くなります。
特許というのは出願した時点で、先願の地位が発生し、出願中も他人を牽制することができます。
勿論、特許となってしまえば、もっと強い独占排他権である特許権が発生します。
するとですね、出願してから4~5年かけて権利化する方が、同じ費用をかけても他人を牽制または排除できる期間を長くすることができるのです。
どうですか、これ!

次に、出願して第三者を牽制できるということについて説明します。
出願しただけでは、特許にはなっておらず、当然のことながら特許権も発生しません。

しかし、当該技術について特許出願中であることがわかると、他人は同じことを実施するのを嫌がります。
わかります?
想像してみてください、仮に、あなたが製造販売している製品が、他人の出願中の技術と同じであって、その他人の出願がいつ特許になるか分からないとするとどうですか?
販売したくないですよね。
保証金請求権という制度もありますが、ここでは説明を省略します。
このように特許出願中による効果は、特に特許調査をマメにする企業に対してより有効になります。

つまり、出願中であれば、特許査定となっていなくても、他人を牽制できると言うことです。
だから、焦って早く権利化を目指す必要は、基本的にないと私は考えております。

勿論、私の所でもお客さんが早期にと希望されれば、それに応じた手続をしますのでご安心ください。

あとですね、これまではゆっくりと権利化した方が良いとお伝えしましたが、早期の権利化を目指した方が良いという例外はあります。
この例外については、また別の投稿でお伝えする予定です。

いかがでしたでしょうか?
坂岡特許事務所、弁理士の坂岡範穗がお伝えしました。

YouTube https://www.youtube.com/watch?v=QSW47H287iI&t=2s
坂岡特許事務所 www.sakaoka.jp
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