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とんでも発明に気を付けよう

【稼ぐ経営者のための知的財産情報】

 弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
 今回は、「とんでも発明に気を付けよう」について説明します。

 個人的な話ですが、先日、ピッチイベントに参加してきました。
 ピッチイベントとは、スタートアップ企業が出資を募るために、出資者の前でプレゼンをするイベントのことだそうです。
 参加するといっても外野から見ているだけですので、実際に投資をしたわけではありません。
 お金持ちになりたいと思いながらいまだに貧乏暇なしなので、早く投資家側としてピッチイベントに定期的に参加できるようになりたいですね 笑

 また、投資を募る方法として、スタートアップ企業や個人発明家が、インターネットでクラウドファンディングの様にして、資金を集めるものも散見します。
 さらに、事業をしていると色んな縁から出資を頼まれたり勧められたりすることもあると思います。

 こんなとき、そのイベントや人脈の質にもよりますが、たまにとんでもない発明が紛れていることあると思います。
 そんな発明に出資してしまうと、丸損になってしまう可能性が高くなりますので注意してください。

 とんでも発明にはどのような発明が多いかといいますと、物理的に矛盾している発明です。

 代表的なとんでも発明として、永久機関のようなものがあります。
 例えば、重力を利用して、又はバネの弾力を利用して永久に動作し続けると主張するものです。
 これ、あまりに都合が良すぎる主張だとすぐに嘘だとわかるのですが、自立して動作するのではなく、他の機械の動作を補助するだけと謳うものもあります。
 自転車のこぐ力を軽くするとか、自動車の燃費を改善するとかのものです。
 こういう感じに力を補助するだけといわれると、なんだか信じてしまいそうですね。

 次に多く目にするのが、余剰エネルギーとか廃棄エネルギーとかを利用すると主張するものです。
 これ、排熱などを利用するとかの、本当に捨てるエネルギーを利用するものであれば良いのですが、けっこうな割合で矛盾する発明が紛れています。
 例えば、自動車に風車を取付けてそれで発電するとかです。
 これ、空気抵抗が増加してその分燃費が悪化します。
 他にも、自動車の発電機で走行時に二次電池を充電して、その二次電池を家庭の電力に使用するといったものもあります。
 こちらも、発電機の負荷が増加して燃費が悪化します。
 もっといえば、自動車に重たい電池を余分に積んで走行するのですから、それだけでも燃費が悪化します。

 その他として、電力関係にもとんでも発明が散見されるように思います。
 例えば、一次電池をエネルギー源にしようとするような発明です。
 基本的に、電池で出力されるエネルギーよりも、電池を製造するために消費されるエネルギーの方が多くなります。
 一次電池を携帯用とか非常用電源とかに使用するのであれば良いのですが、これを商用電源のようにして一般家庭や工場の電力を賄うというのは、今の技術力では難しいのではないかと思います。

 こういった発明で困るのは、発明した本人はとても真面目に考えていることが多いことです。
 第三者が矛盾点を指摘しても、そんなことはない、損するエネルギーより得られるエネルギーの方が多いと主張します。
 でも、多分、きちんとした実験や検証はしていないんですね 笑
 また、前提条件をとても甘くしていることもあります。

 そして、上述したように発明者本人は真面目に考えているため、プレゼンなどで真剣かつ熱く語ります。
 すると、何となく信じてしまい出資してしまうことになります。
 ですので、うまい話があったときは少し冷静に考えてみることをお勧めします。

 いかがでしょうか、本記事についてご理解いただけたでしょうか。
 この記事が御社のご発展に役立つことを願っています。

坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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