これもあれも著作権侵害です!!
【稼ぐ経営者のための知的財産情報】
弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
今回は、「これもあれも著作権侵害です」をお伝えします。
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1.学校が著作権侵害で損害賠償請求を受ける
2024年10月3日の伊勢新聞によりますと、三重県の公立学校が、著作権侵害による損害賠償請求を受けたとの記事が掲載されていました。
同記事によりますと、他人が作成したイラストを、平成26年10月に発行した「学校だより」に掲載した。
さらに、学校だよりは全校生徒に配布し、同校のウエブサイトにも掲載したとあります。
これ、ワザと著作権侵害をしたのではなく、学校だよりを制作した人が、単に知らなかっただけと思われます。
私が2024年6月にnoteに投稿した、「思わぬ著作権侵害に注意」にも書いたように、知らずに著作権侵害をしてしまうことがあるのです。
こちらもあわせてお読みください。
https://note.com/norio_sakaoka/n/n187960ffacd7
ということで、今回は、こういったことをすると著作権侵害になりますよ、ということをお伝えしていきます。
2.何が著作権侵害になるのか
先に、大まかに何が著作権侵害になるのかを説明します。
一言でいえば、他人の著作物を複製したり配布したりすると著作権侵害になります。
著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものです。
今回問題となった「イラスト」は、通常、著作権が存在します。
ですので、イラストを学校だよりに複製して、それを頒布した行為は著作権侵害になる可能性が高くなります。
3.著作権侵害にならないもの
一方、単なるデータや事実だけを伝達するもの、ありふれたものは著作物に該当しません。
例えば、「東京タワーの高さは333メートルです」とか、「今日も天気が良いですね」みたいな表現は著作物に該当しません。
工業製品も一般的に著作物となりません。
(但し、工業製品には特許権、意匠権、商標権などがあります。)
4.著作権が制限されるもの
さらに、行為そのものは著作権侵害ですが、例外的に著作権が制限されて侵害にならないものもあります。
例えば、私的利用のための複製、図書館等における複製等、引用、教科用図書等への掲載、学校その他の教育機関における複製等、などです。
5.今回の件はどうなる?
今回の件、上記のうち「学校その他の教育機関における複製等」に該当するのではと思われる人もいらっしゃると思います。
しかし、著作権法第35条には、「授業の過程における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、公表された著作物を複製できる」旨が定められております。
今回の「学校だより」は、授業での利用には該当しないと考えられます。
ですので、著作権侵害に該当する可能性が高いと考えられます。
6.これもあれも著作権侵害です
さて、前置きが長くなりましたが、経営者が気をつける著作権侵害は上記の例に限りません。
えっ、これも著作権侵害になるの?というものもあります。
以下、紹介していきます。
(1)店舗等でYouTubeを流す
YouTubeは、基本的に商用利用は許可していません。
ですので、店舗等でYouTubeの動画等を流すことは違法になります。
(2)店舗等で音楽配信サービスを流す
これも商用利用は基本的にダメです。
もし、店舗等で音楽を流したいのであれば、商用利用を前提とした配信サービスを利用しましょう。
(3)店舗等で自分が所有するCDの音楽を流す
いくら自分が購入したCDであっても、個人的な利用に限られます。
もし、商用利用するときは、JASRACへの申請と支払が必要になります。
(4)店舗等で録画録音しておいたTV放送やラジオ放送を流す
これもダメなんですね。
但し、TV放送やラジオ放送を、そのまま生の状態で流すことは構いません。
録画録音したものを流すのがダメなだけです。
(5)違法コンテンツをダウンロードする
私的利用であっても、マンガ等を無許可で掲載しているような、違法コンテンツをダウンロードする行為は違法です。
(6)コピーガードを解除して複製する
私的利用であっても、本来コピーできないものを機械やアプリを使ってコピーする行為も著作権侵害になります。
色々とありますね。
ちなみに、著作権の存続期間は、著作者の死後70年あります。
最近の音楽やイラストの著作権が切れるのはかなり先になります。
このことから、他人の創作したものを勝手に利用する行為は、けっこうな確率で著作権侵害になりますね。
迷ったら、知的財産権の専門家である弁理士にご相談ください。
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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