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思わぬ著作権侵害にご注意を

【稼ぐ経営者のための知的財産情報】

 弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
 今回は、「思わぬ著作権侵害に注意」をお伝えします。
※出願等のお問い合わせはこちらから http://www.sakaoka.jp/contact

1.女性会社員が著作権法違反の疑いで書類送検される

 ネットニュースにて、「スマートフォン上でアイドルを育成するゲームのキャラクターに、虫などを加えた画像をSNSで公開したとして、京都府警は、東京都の25歳の女性会社員を、著作権法違反の疑いで書類送検しました。」とありました。

 何をしたかというと「会社員は去年(令和5年)1月、スマートフォン向けのアイドル育成ゲーム『あんさんぶるスターズ!!』のキャラクターの映像を、勝手に編集して虫の画像などを加え、3回にわたってあわせて6点のデータをSNSに投稿したとして、著作権法違反の疑いがもたれています。」とのことでした(上記括弧書きは2024年6月3日「京都NEWS WEB」より引用)。
注:実際の画像がどんなものなのかは存じません。

 上記のニュースを見て、皆さまは何がいけなかったのだろうと思われるでしょうか。
 これって割と世の中にありそうですよね。

 でも、上記の行為は立派な著作権侵害になります。
 順を追って見ていきましょう。

2.そもそも著作物とは?

 先ず、著作物とは何かを説明します。
 著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものです。
 当然に、絵画等も含まれます。

 逆に、単なるデータ、事実だけを伝達するもの、ありふれたものは著作物に該当しません。
 但し、データベースや地図であっても、独自の創作性があれば著作物としてみとめられます。

 ということで、どんな画像かは存じませんが、「アイドル育成ゲーム『あんさんぶるスターズ!!』のキャラクター」の画像は、一般的な考えですと著作物に該当することになります。

3.何がダメだったのか

 では、上記1において何が著作権侵害となったのかを説明します。

 (1)同一性保持権
 上記ニュースで、「キャラクターの映像を、勝手に編集して虫の画像などを加え」とあります。
 この行為は、著作権法における同一性保持権の侵害となります。

 同一性保持権とは、「著作者は、その著作物と題号の同一性を保持する権利を有する」というものです。
 つまり、著作者の許諾なしに著作物を改変してはダメなのです。

 (2)複製権、公衆送信権
 次に、改変した画像を「3回にわたってあわせて6点のデータをSNSに投稿した」とあります。
 これらの行為は、著作物を許諾なしに複製した複製権の侵害になるとともに、公衆送信をした公衆送信権の侵害になると考えられます。

 ここまで読まれて、同一性保持権?複製権?公衆送信権?とハテナマークが続いた人もいらっしゃると思います。

 実は、著作権とは複数の権利の束でして、公表権、氏名表示権、同一性保持権、複製権、上演権及び演奏権、上映権 、公衆送信権、口述権、展示権、頒布権、譲渡権、貸与権、翻訳権、翻案権などの権利があるのです。
 ややこしいですが、こんなものだと思ってください 笑

4.どうすればよかったのか?

 今回の場合、仮に画像をダウンロードする行為が、違法ダウンロードに該当しない前提で話をしますと、私的使用に限定すればよかったのです。
 私的使用に限れば、複製は自由にできます。
 もっとも、違法ダウンロードや違法コンテンツは、私的使用であってもNGです。

 著作物の改変については、私的使用であっても厳密には著作権者への許諾が必要と考えますが、公にしなければバレません。
(弁理士がこんなことを書くのはいけませんが、、、)

 今回はSNSにアップロードしたことが致命的でした。

5.皆さまが注意すること

 このように、他人の著作物を勝手に利用する行為は、たいていの場合、著作権侵害となってしまいます。
 インターネットに転がっているものは勝手に使用してもよいみたいな風潮もありますが、それは間違いです。
 私的使用に該当しないときは、必ず著作権者の許諾を得てください。

 そういった意味では、YouTubeなどにアニメや映画の原作をもじってパロディとして提供している動画がありますが、これは危険だと考えます。
 仮に、著作権者の許諾を得ずに勝手にやっていたとすると、後で痛い目に遭う可能性があります。

 過去に、ファスト映画と呼ばれる、映画のあらすじを動画にしてYouTubeにアップロードした人に、5億円の賠償を命じる判決がなされました。
 このようなことにならないよう、著作物の取り扱いには十分ご注意ください。

 そして、どうしたらよいのか迷ったら、知的財産の専門家である弁理士にご相談ください。

坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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