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ポジショニング×知的財産権

【稼ぐ経営者のための知的財産情報】

 弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
 今回は、「ポジショニング×知的財産権」をお伝えします。
※出願等のお問い合わせはこちらから http://www.sakaoka.jp/contact

1.ポジショニング戦略

 ポジショニングとは、複数の表現がありますが、市場において他社との差別化を図り、自社の立ち位置を明確にすることです。
 その結果、この商品ならこの会社というように、消費者の頭に自社を覚えてもらうことです。

 例えば、スターバックス・コーヒーは、「自宅でも仕事場でもない、第三の場所」という位置づけを築いて成功した例です。
 私も、都内への出張時には、時間調整でスターバックスを利用することがあります。

 とはいっても、私の中でのスターバックスは、時間調整する場所でしかないので、テイクアウトでの購入は基本的にしません。
 テイクアウトするなら、コンビニで買うコーヒーの方がずっと安価だからです 笑

2.ポジショニングは1番を目指す

 さて、ポジショニングは重要なのですが、それには1番にならなくてはいけません。
 なぜなら、2番目以降はマニアを除いて人々の記憶に残らないことが多いからです。

 日本で1番高い山は富士山です、2番目に高い山はどこでしょう?
 世界で初めて有人飛行機を飛ばしたのは、諸説あるようですが一般にはライト兄弟と認識されています。では、2番目は誰でしょう?

 どうでしょう?2番目を答えられた人はかなりのマニアだと思います。
 3番目、4番目になるとよほどでないと答えられませんね。

 このように、ポジショニングでは1番を目指さないといけないのです。
 コーラならコカ・コーラです。
 宅配便ならクロネコヤマトです。

 顧客の脳内にこのような変換式ができてしまえば、しめたものです。
 もう、他社が参入してもそのシェアを崩すことは困難です。

3.2番目以降はどうする

 では、2番目以降はどうすればよいのでしょうか?
 それは、穴を見つけてそこに参入することです。
 細かなセグメント分けをして、誰も居ないところへ参入することが考えられます。

 例えば、家庭用の電気掃除機は、けっこう成熟した市場です。
 この電気掃除機にあった穴を利用した例を紹介します。

(1)サイクロン式の掃除機
 20世紀の終わり頃、サイクロン方式という分野で、日本にダイソンが参入してきました。
 吸い込んだゴミに、遠心力を与えて分離するという方法は、古くからあったと思います。

 それを家庭用の電気掃除機に応用して、さらにサイクロン式の特徴を上手く宣伝して、2000年過ぎからヒット商品となりました。

 その後は、サイクロン式の掃除機といえばダイソンとなりました。
 一応、他社もサイクロン式の掃除機を販売しているのですが、消費者にはサイクロン式ならダイソン、又は他社のどれかという選択になっていると思われます。

(2)床用の自動掃除機
 同じく家庭用の電気掃除機ですが、床用の自動掃除機という分野にルンバが参入してきました。
 上述のダイソンに少し遅れて、2002年に日本にやってきたようです。

 これも、後になって他社から同様の製品が販売されましたが、床用の自動掃除機といえばルンバという図式がなりたっています。
 他社がいくら頑張っても敵いません。

4.1番を取るには

 さて、ポジショニングには1番になることが重要と書きました。
 1番を取るにはどうすればよいのでしょうか?

 先ずは、販売初期でのマーケティングがあるでしょう。
 上述のダイソンですが、「ダイソン。吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」というキャッチコピーは皆さまも覚えていらっしゃると思います。
 このキャッチコピーと圧倒的な宣伝により、人々の認知度を向上させていったと思われます。

 2つめは、知的財産権で参入障壁を作ることです。
 ダイソンは、我が国だけで1100件を超える特許出願をしています。
 この中で、掃除機の細部に関する出願だけで500件以上あります。
 ここまで固めれば、他社が参入するのが難しくなります。

 ということで、ポジショニング×知的財産権で大きな効果を得ることができそうです。

5.中小企業はどうする

 上述した例は、それなりに大きな企業ですね。
 中小企業が、ダイソンやルンバと同じ販売戦略をとることはできません。

 自分にできることをやっていくしかありません。
 例えば、私の知っている経営者には、特許を取得してそれをもとにプレゼンをして、億のお金を集めることができる人がいます。
 そういったことができれば、ある程度大きく打って出ることも可能です。

 とはいっても、上記の億の出資金を集められる人もそんなに多くありません。
 一般の中小企業では、補助金などを使いながら、セグメント分けしたニッチな分野(穴)を開拓していくことになると思われます。

 弁理士業界を例にとりますと、中小企業にとって、一般に弁理士は敷居が高いと思われていました。
 何だか偉そうにしている「先生」と呼ばれるオッサンが出てきて、小難しい講釈を垂れるといった具合です。
 そこで弊所では、中小企業からみて気さくで、先行技術調査や発明発掘を親切丁寧にしてくれる事務所という位置づけを取っています。

 一般の業界に話を戻しまして、例えば食品ですと、食材の組み合わせは無限と言えるほどにあります。
 その中から、意外な組み合わせ、かつ美味しいものを開発すれば、1番目のポジショニングを作ることができますね。
 タバスコチーズケーキとか、、、(冗談です)

 さらに、模倣防止でその開発品を特許出願すればもっといいですね。
 この記事が御社の発展に寄与することを願っております。

参考文献
永井孝尚著,「世界のエリートが学んでいるMBAマーケティング必読書50冊を1冊にまとめてみた」,株式会社KADOKAWA

坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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