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ヤバい経済学-悪ガキ教授が世の裏側を探検する (スティーヴン・レヴィット)

 全米で100万部超のベストセラー、日本でもかなり売れた本ということで読んでみました。

 ・不動産広告の「環境良好」の隠された意味って?
 ・90年代のアメリカで犯罪が激減したのはなぜ?
 ・勉強ができる子の親ってどんな人?
 ・銃とプール、危ないのはどっち?
 ・力士は八百長なんてしない?
 ・学校の先生はインチキなんてしない?

 本書の扱っている材料が、麻薬や犯罪といったアメリカ的な社会事象が多いので、全米ベストセラーというのもわからないわけではありませんが、日本でも・・・というのはどうも???
(多くの書評で紹介されている「7勝7敗千秋楽の勝率」という「相撲の八百長?」の話題の影響でしょうか?まあ、かく言う私も手にとったわけですから・・・)

 著者は、世の中にまことしやかに流布している通説を、データをもとに分析し、その真偽のほどを明らかにしていきます。

(p176より引用) 私たちには、物事を遠くで起きた事件や難しいことよりも自分の手にとってさわれることに結びつける傾向がある。とくに、ものごとの原因は時間的にそう遠くないところにあると思いがちだ。・・・私たちだって間違った原因を信じ込むことはある。自分の利益に絡んだことを真理と称して高らかに吹聴する専門家にせっつかれて何事かを思い込むことは多い。

 事象Aと事象Bの間には、「相関関係」があるのか? 相関関係は認められたとして、それは「因果関係」にもとづくものか?
 著者は、そういった基本的な事実の掘り下げや論理の検証を、身近なシーンを材料に豊富なデータを用いて実際にやってみせています。

 根拠の確認なくして因果関係を信じることを戒め、事実をもとに真実を求める姿勢は大事だと思います。
(ただ、そのための啓蒙の手段が、この本というのであれば、正直なところちょっと疑問符がつきます。とくに第6章の「名前」のあたりは・・・。)


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