月日の残像 (山田 太一)
(注:本稿は、2015年に初投稿したものの再録です)
昨年(2014年)末の新聞の書評欄で、複数の選者が推薦トップ3に挙げていたので手に取ってみました。
著者の山田太一氏は、「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」など話題をなったテレビドラマを数多く手掛けた脚本家です。
本書は、山田氏の家族をはじめ、巡り会った人々との思い出を綴ったエッセイです。
その中で、特に興味使いエピソードが紹介されていたのが、劇作家寺山修二氏との思い出を語った章でした。
寺山氏の作品には、「母」が登場する俳句・詩・シナリオが数多くあるとのこと。それらで描かれている「母」は、寺山氏の実母とは全く異なっていたようです。その事実は、山田氏を混乱させました。
寺山氏は、第一詩集「空には本」のあとがきにこう記しているそうです。
山田氏は、この論にたちまち傾倒します。
もうひとつ、印象に残ったところですが、サザンオールスターズの桑田佳祐さんに触れた部分もあったので、書き留めておきましょう。
「文字によらない文化媒体」としての「歌」の可能性、文化的事物の認識器官として「目」から「耳」への移行に言及しているくだりです。
ご存知の方も多いと思いますが、山田太一氏の代表作「ふぞろいの林檎たち」のテーマ曲は「いとしのエリー」でしたね。
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