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「成功」と「失敗」の法則 (稲盛 和夫)

 著者の稲盛和夫氏は、ご存知の通り、京セラの創業者で、KDDIの前身である「第二電電」を起こした経営者です。

 稲盛氏の著作は、以前「アメーバ経営」という本を読んだことがあります。「アメーバ経営」はジャンルとしてはビジネス書ですが、こちらはもう少し一般的な「啓発書」という趣きです。
 内容は、稲盛氏のこれまでの経験を踏まえ、氏自身が意識し実践している「人生訓」を平易なことばで紹介したものです。

 たとえば、「第二電電」を立ち上げる際、自らに問いかけ続けたというフレーズです。

(p50より引用) 動機善なりや、私心なかりしか

 この自問自答を6ヶ月間繰り返し、「自分のエゴではない」と確信して通信事業に参入したのだそうです。

 もうひとつ、私の印象に残ったフレーズですが、稲盛氏が引用している内村鑑三の言葉です。

(p80より引用) 至誠の感ずるところ、天地もこれが為に動く

 本書で説いている稲盛氏の教訓は、とてもシンプルで真っ当なものです。
 ただ、読み通してみて、正直なところ今ひとつ “浸透力” を感じませんでした。
 言われていることはもっともなのですが、(私も含め)多くの人々は、そのもっともなことが実行できなくて、苦しんだり悩んだりしているのだと思います。そこに「誠を尽して一所懸命に努力すれば」と説かれても・・・という感じを受けてしまいます。

 ご自身は当然 “もっと泥臭い現実” を経験されたはずですから、その泥臭さから説き起こしていただければ、本書の箴言にもっとリアルな納得感が生れたのではと思いました。


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