強いIT戦略 攻めの経営に向けたIT活用の新機軸 (アクセンチュア テクノロジーコンサルティング)
本書は、ITコンサルティングを得意としているアクセンチュアのメンバによる「IT投資の青図」を提示しようと試みた本です。著者のお一人から頂いたので読んでみました。
今日のITを議論するための視点を “5つのI”
「Innovation(イノベーション)」
「Information(インフォメーション)」
「Integration(インテグレーション)」
「Infrastructure(インフラストラクチャ)」
「Industrialization(インダストリアライゼーション)」)
にまとめて、各章ごとに要領よく解説していきます。
それぞれの説明には、最新のITトレンドを語るうえで重要と思われるキーワードが適度に含まれているので、現状や課題のアウトラインをザックリとつかむことができます。
さて、本書で紹介されているイシューのうち、従前から私自身が早急に具体的対応に着手すべきだと考えていたのが「ITインフラの統合」という提案です。
フレキシブルなリソースマネジメントを可能とするITインフラは、仮想化技術やユーティリティサービスの登場で現実性が高まっています。
SOA(Service Oriented Architecture)によるアプリケーション連携は、なかなか企業の基幹系システムで実装するのは難しいところがあります。企業内の業務プロセスを「共用可能な程度の粒度」で切り出すのが困難だからです。
その点、CPUやストレージといったシステムリソースの共用は、IT部門主導できちんとしたデザインを描いてマイグレーションプランを策定すれば、現実的施策として今からでも実行できるものです。
さて、本書を通して私が最も興味深く感じたのが、「ITの生産性向上への寄与度」についてのアンケート結果でした。
「生産性」の定義が不明確であり、またその「生産性」の変動に対するITの因果関係もはっきりしないので、数字の絶対値から何か言うのは難しいと思います。が、ここで面白いのは、「本来ITを活用する『業務部門』より、ITを構築・提供する『IT部門』の方がITの効果に懐疑的だ」という点です。
私もIT部門で社内システムの構築に関わった経験があるので、この結果は少々理解に苦しみます。
IT部門の半数以上の人々が「生産性に寄与しないシステム」を作っていたと自ら認めているとしたら、それはあまりにも無責任ですし、もしそうなら、なぜそのようなシステムを開発したのか、原因を徹底的に追求しなくてはなりません。
(注:本稿は2009年に投稿したものの再録です)
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