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セブン‐イレブンの正体 (古川 琢也)

(本投稿は、2009年に別のBlogへ投稿したものの再録です)

 2008年の全国のコンビニの売上高は百貨店を凌駕する勢いです。(「コンビニ売上高、百貨店を初逆転 主婦・高齢者つかむ」2009年1月19日朝日新聞)
 店舗数も、入れ替わりは激しいものの年々増加し続け、すっかり生活に不可欠なものとして定着したといえるコンビニですが、2009年2月20 日の読売新聞に「セブン‐イレブン、加盟店の値引き不当制限か…公取委検査」との記事が報じられました。

 本書では、新聞報道された「過剰発注」「大量廃棄」それらの誘引となっている「ロスチャージ」という独特の会計処理といった実態を裏づけるようないくつもの証言・証拠が紹介されています。

(p78より引用) 流通業界が力を持ちすぎてしまって、ものづくりの現場が大事にされなくなっていますね。

 最近では、環境への配慮といったコンテクストの中で、「コンビニの24時間営業の是非」についても、一部自治体を中心に議論されつつあります。

 何かと風当たりも強くなってきたコンビニ業界ですが、こういった流れに対応する形で、(セブン‐イレブンに限った話ではありませんが、)本部から加盟店オーナーに対して、マスコミ取材を拒否するよう指導することもあるそうです。

(p108より引用) 加盟店オーナーが二四時間営業で非常に不利益を強いられているのであれば、意見も言わせないという本部の対応は、『正常な商慣習に照らして不当に加盟者に不利益となるように取引条件を設定し又は実施し』ていると認められ、『優越的地位の濫用』にあたるといえます。

 この他にも、過重労働・極端な効率化実態等々・・・、100ページ強のボリュームですが、本書が指摘する問題は多岐にわたります。

 本書で紹介されている「コンビニ企業側からの反論」は、広報部門からの回答レベルでしかありませんから、本書の主張だけで事の正否を論ずるのは尚早です。
 いくつかの問題は、今後の民事裁判や公正取引委員会の検査結果により明らかにされるのでしょう。


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