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母の傘

赤い傘
折り畳みのかわいい傘
持ち手のところが丸まっている

いつも出掛ける時には持っていた
雨が降るとビニール袋に入れてしまっていた
持ち歩くのに便利だと
雨の日もその赤い傘をさしていた

あなたの赤い
その傘はまだまだ玄関先に置いてある

ずっとずっと側にいて
そんなことを思ってる

わたしにはもう誰もいない
「母の存在は大きいよ」

友は言う

「わたしはまだ母は生きている気がする、ずっと入院してたから」

やっぱりまだ夢の中

雨の日に持って出ようと思うが
どうしても出来ない

その赤い傘は母のものだから

わたしもまだまだ夢の中

わたしは起きあがりこぼしのように
ひっくり返っては
起きあがり
ひっくり返っては
泣きながら
起きあがる

赤い傘は母の傘


小牧さん

いつもお題をありがとうございます


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