見出し画像

十日に一度~ヘナ染め

母の髪はヘナで染めていた
本当は真っ白な髪だけど

昔は美容院で黒く染めてたが
ある時からヘナがいいと
自分で染めるようになっていた

アユールベータで髪も地肌も痛まない
トリートメント効果もあるという

父が生きていた時は
父に染めてもらっていたらしい

父がいなくなってからは
自分で染める
襟足の部分が染められなくて
白い毛が残る

わたしが「染めようか」とたずねても
「大丈夫」と自分で染める

やっぱり何でも自分でやる母

ヘナパウダーの調達役はわたし
生協で買う
少し多めにストックをしておく

おやさまに会いにゆく日の二~三日前に必ず染める

それは旅立つまで続いてた

「わたしの髪が白くなったら、もうあの世に還る時」
そんなことを言っていた

でも母はあの世に還る時までも
赤毛の母のままだった

母の具合が良くないと
時たま、わたしが母のヘナ染めをする

「あんたのは丁寧過ぎて、時間がかかる」
と文句を言う
身体がきついのに
わたしは少しでもきちんと染まるように
母の身体を二の次にしていたのか
自分勝手だったのか

でも母は染めたあと
「きれいに染まっているね」と
必ずうれしそうに言ってくれる

母の髪はあの世に還っても赤いままなのだろう

トレードマーク
すぐに分かる

十日に一度は神様に会いにゆくだけではない

母の毛染めの日

いまも赤毛の母がいる

浮かんで来る

十日に一度


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?