こわくて聞けない

母があの世に旅立って、わたしは仲の良かった近所のおばさんは元気なんだと
時折気にはなっていた

どこかで羨ましくもあり
生きていることにホッとしている
二つの心があった

ひとり暮らしのおばさんを
わたしと同じくらいの娘さんが
時々様子を見に来ているようだった

ところがところが
わたしが家を空けている間に

おばさんの家はもぬけの殻になっていた

えっ
どうしたの

この間会った時には
「家に遊びにおいで」
と言ってくれた

息子はね
施設に入ったのかもしれないよ
と言ってくれたけど

一体、全体どうなったの？
誰かに聞きたいけど
こわくて聞けない

そういえば
おばさんも確か母と同い年
病をかかえて生きていた

誰にも聞けない

こわくて聞けない

昨日は朝からおばさん家の家財道具がトラックで運び出されていった

丁寧ではなく
ぞんざいに