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十日に一度

いつもなら起きられない
布団の中で押し問答
起きないと思う気持ちより
起きたくない身体が勝ってしまうのに

今日だけはどうしても起きないと

十日に一度
母と一緒におやさまに会いにゆく

いつの間にか生きがいで

わたしからこれを取ったら
今よりも腑抜けになる
今でさえ十分腑抜けだけど

お社さんも友だちも
もっとゆっくり進んでいいよ
と言ってくれ
焦ってなにかをしなくていい
少しだけ余裕が生まれる

一昨日は少し片付けをしようと
三十五年前にわたしの前からいなくなったじいちゃんのパイプとラクダ色の温かい下着、財布が出てくる
きっと母が持って来たものだろう
その母にももう聞けない

一年経ってやっとやっと
少しだけどひとりだと分かってくる

小田原で「この電車に乗ってきて」といって待ち合わせしていたことも懐かしい
もうそんなことも出来ないと思い出し
寒さが身に凍みてくる

十日に一度
神様に会いに行けるわたしは
しあわせだけど

やっぱり母と一緒がいい
本当はとなりにいる
わたしには見えないだけ

根府川の海はキラキラと輝いている

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