見出し画像

絶対にイヤ

「○○ちゃんのお母さん、施設に入るんだよ」
母にそういうと
「えぇ~、わたしは絶対にそんなところに入らない!!」

内弁慶、外面の良い人、他人前ではとってもおとなしい人

母はそういう人

一昨年の今頃に体調をおかしくして
一人暮らしはもう無理だ

どうしよう
施設なんか死んでもイヤ、断固拒否

30年、母とわたしは別々に暮らし
程よい距離を保てていた

一緒暮らす?どうするの?

「分かったよ、施設には入れないから、安心して」
といったものの
わたしの方が精神をやられる

それでも親だから、大好きな母だから、居心地のいい家で暮したいに決まってる

どこにも行かせない

時折、わたしは自分の家に帰る
それでも身体が動かない
どうしたわたし

母は必死に生きていた
時には喧嘩して
わがままばかりを言っていた
…のはわたしの方

母だけではない
わたしも左足を粉砕骨折、右足も骨折

七十日の入院で
出て来たときはヨレヨレだった
翌年にプレートを抜く手術も待っている

本当は人をかまう余裕なんてないはずだ
でも緊急事態
母の病は効くか効かぬか分からぬ薬が効いてくれ
なんとか生き延びてくれていた

でも段々弱りの母
本当はがんばって、がんばって、がんばって生きていてくれた

ずっとずっと家にいたいと

母は死んでも家にいてくれた
魂は肉体から抜けても

家から送り出すことができた

大好きな家に最後までいられた
母はしあわせだったはず

そう思いたい

願いって叶うんだ



この記事が参加している募集

#ふるさとを語ろう

13,680件

よろしければサポートお願いします。