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空っぽ

母との諍いは日に増して酷くなり、辛く、涙を流し、渦の中でわめき続けている。

誰も私の気持ちを分かってくれない。

それは傲慢なのか?

分かれと言うのが無理なのは、心のどこかで感じている。

他人を責めても何にもならない。

そんなことは分かっている。

分かっていることだらけ。
そして矛盾だらけの私の心。

苦しいよ。悲しいよ。情けないよ。

みんな、自分を殺して生きている。
自分の心を殺せない私をわがままと決めつける。

やりきれない。

誰のために生きているのか。
それは自分のためでしょう。答えは簡単。

あんたみたいな、わがままものは居ない。
態度に出るから、心が悪いから、我慢をしろと言われても、どうしようもない自分が嘆かわしいし、悔しい。

老い先短いあの人が、今はいるから私は甘えられる。

あぁ、そうでしょう。私のは甘えです。
「いつかこの世から居なくなる、その時に後悔しないようにしないとダメよ。」

親だから、親だから。
唯一無二の親だからと。

「母さん、頑張っているよ。」
いつも寄り添う従姉は電話口の遠い場所から言う。

別に頑張らなくていいのに、
はねつけなくていいのに、
自分に鞭を打たなくてもいいのに。

いつもその言葉を飲み込む。

私の気持ちは分からない。分かって貰おうは間違い。

「はい、そうですね。私だってあなたの想いは分かりませんよね…」と心の中で寂しく呟く。

言葉に出して言わない。


「ありがとう」と言われても、素直にその言葉を受け止められない。
ひねくれ者の私です。

どうしたものか、困ったね。
わざわざそんなことを言わないで、それよりもきつい言葉を出さないで下さい。
お願いします。

あなただけが辛いのではないのです。
あなたは自分が大変、自分の身体が不自由になったと、自分のことしか考えられない。
いけないとは言いません。仕方のないことなのですよね。

これが老いる現実ですね。見せてもらってありがとう。

私の気持ちなど蚊帳の外。自分のことだけで精一杯。

余裕がないのかも知れない、お互いに。
思いやれない私が悪いのです。

生きてる価値のない私。
情けない、こんなことしか考えられない。

人の目を気にする母と人の目なんか関係ないと思う私。
人の目をかまえる余裕すらない私。

私のせい、私のせい、私の存在が無くなればいい。
全ては私が悪い…、そう言ってくれたら、どんなに楽でしょうか。

生きる意味すら見えて来ない。

笑顔もなく、苦虫を噛み潰したような顔ばかり。

わざわざそんな顔をしない、見せない、見せたくない。

誰がそんな顔を見たいか。誰も見たくないよね。

分かっている。

消えて失くなればいい。
最低、最悪な私。

自分が無い、空っぽな私。

もう空っぽは嫌だから、私は自己主張を始めると、たちまち逆襲の嵐。

寄り添えない、自分を殺せない、自分が壊れる。

苦しいのは自分だけではない。

分かっている、自分の心に寄り添うことが今必要なんだ。

空っぽと思っていた心には、数々の重い何かが詰まっていた。

本当はその何かを手放して、もっともっと身軽になって、生きて行きたい。

楽な気持ち、有るようでない、無いようである空っぽな心になりたい。

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