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岸壁の向こう側


富岩運河のそば

母の生家は目と鼻の先に港がある

港にはよくロシア船が止まっている

長い休みなると祖父母のもとへ遊びにゆく私

母の実家は酒屋さん
時々配達の車の助手席に乗せてもらう
子どもにはちょっと楽しいドライブだった

小学校低学年のころ
祖父母の家のそば
友だちと遊んでいたところ
ロシア船籍の船の上から船員さんに
船と岸壁をつなぐスロープを登っておいでと誘われる

わたしたちはホイホイと何の疑いも持たずに船の甲板まで登ってゆく

そこへ心配した3つ年上の従姉がやって来て
はやく、はやく降りてこいと怒っている

拐われたらどうするの

「あんたらち、何しとんが!危ないからだめだねかぁ~」
富山弁でまくし立てる

仕方がないなとわたしたちは船員さんにサヨナラをする暇もなく岸壁に降りる

今考えると従姉が怒るのは無理もない

でもただ子供好きの船員さんだったかもしれない

あの岸壁に立つと
遠い遠い昔のロシア船のことを今も思い出す




山根あきらさん

私にとって「港」と言えば、母の実家のある富山の海が一番に出てきます。

懐かしい思い出の地です。

いつもありがとうございます。
感謝、感謝💐

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