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目玉焼きには


朝ご飯、なに作ろうか
昨日近所の農家で買ってきた
野菜がある
アボカドとトマトもある
それを豆腐に添えてサラダにする

そう言えば玉子があった
ウインナーを添えて目玉焼きにしよう

ご飯は昨夜炊いた冷凍ご飯をレンジでチン
味噌汁はない
お茶で濁す

父と母とにお供えをして
お下がりをわたしが食べる

そう言えば母は目玉焼きにはソースを掛けて食べていた
わたしはシンプルに塩コショウが好きである

今日はお供えをする前にソースを掛けることにする
「お母さん、美味しかった?」
ひとりで食卓に朝ご飯を並べてみると結構豪華な朝食だ

見えないけれど母と二人で並んで食べる
「美味しいね、美味しいねぇ」と心の中でつぶやく

残して置いたご飯にソースの掛かった目玉焼きをのせる

ほんのりと母のことが浮かんでくる
涙が出てくる

別に泣きたい訳じゃない
「お母さん」と母の好きだった玉子焼きのせご飯を食べているだけのことなのに

時々自然に溢れてくる
晴れたり、曇ったり、雨が降り
まるで今日の天気みたい

ほんの些細な思い出が大きく大きく膨らんで
身体中を駆け巡る

ソースを掛けた目玉焼き
それは母の好きなもの

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