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月に思う

朧月を見ると
いつの間にか泪が出る

父が彼の地に旅立って間もなくのころだった

母と二人で互いの家から同じ朧月を眺める

きれいな月

今はもうその母もいない

何を見てもむなしくて、かなしくて
 
ずっとずっと
思い出の中で暮らしている

ひとりぼっちの人生を
山あり谷あり
何とか過ごしてこられたのは
母のお陰

細く長く
ともに歩んだ
こころの教えがあったから

はかない、はかない朧月

人の命もいつか消えゆく

魂だけは残ったとしても
肉体は跡形もなく地に還る

私は何を追い求め泣くのだろう

おぼろげな月を見つめ

またつぶやく

「迎えに来て」



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