長屋尚典

東京大学大学院人文社会系研究科・准教授☕️ 言語学を研究したり教えたりしています🏃 ht…

長屋尚典

東京大学大学院人文社会系研究科・准教授☕️ 言語学を研究したり教えたりしています🏃 https://linktr.ee/nori.nagaya

最近の記事

  • 固定された記事

大学以外で言語学を勉強する方法

「大学には所属していないけれど言語学を勉強してみたい。どうしたらいいの?」という質問をよくいただきます。 たしかに本屋さんや図書館には「言語学入門」と銘打った本がたくさんありますが、なかなか独学するのは難しいですよね。 かといって、大学あるいは大学院に入学するというのも大変ですし、そもそも大学院に行くために言語学を勉強してみたいという方もいらっしゃるかもしれません。 そこで、今回は大学以外で言語学を勉強する方法を考えてみたいと思います。 いくつか方法があります。 大

    • 言語学は3度生きる

      私は言語学者です。 言語学という学問を研究し、教えています。 言語学について考えたり、勉強したり、書いたり、話したりしながら、毎日暮らしています。そんな生活をもう20年ぐらいは送っています。 その意味では、言語学はもはや暮らしそのものといえます。 今年2023年もそうでした。言語学にはじまり言語学に終わる年になりそうです。 そんな2023年を終えるにあたり、言語学漬けの生活をしている私が、「言語学をやっていてよかったな」と思った3つの瞬間についてご紹介したいと思いま

      • タガログ語 (フィリピン語) の辞書の引き方

        世界の言語のなかには、辞書を自分で引くことができたら一人前という言語があります。 辞書を使うためにはその言語について相応の知識がなければならない言語です。 タガログ語もそのような言語の一つです。 この記事では、そんなタガログ語の辞書の引き方を解説します。 タガログ語の辞書を使いたい2023年11月現在開講中の東京外国語大学オープンアカデミーのタガログ語 (フィリピン語・フィリピノ語) の授業では、タガログ語の物語を集めた教科書を使用し、タガログ語を実際に読んでいます。

        • 言語学のレポートの書き方

          この記事は、書式などの形式的な側面を中心に、言語学のレポートの書き方について解説しています。 もともとは、私の授業でレポートを書く人に向けて、あるいは私の指導学生に対して、授業や論文指導の場で言及してきたことです。 その意味では私の授業を受けている人のためのものではあります。 そうではあるものの、もしかしたら、言語学を勉強している人や言語学を教えている人の参考になるかもしれません。 そう思ったので、ここで公開します。 もちろん私の授業を履修している人はしっかりと読ん

        • 固定された記事

        大学以外で言語学を勉強する方法

          ((記述) 言語学の) 卒業論文の書き方〜おすすめの本編〜

          「(記述) 言語学の卒業論文の書き方」という一連の記事では、主に言語学を学ぶみなさんむけに卒業論文の書き方を紹介しています。 (記述) 言語学の卒業論文の書き方〜スケジュール編〜 (記述) 言語学の卒業論文の書き方〜やった方がいいこと・やらない方がいいこと編〜 題名の通り、基本的には (記述) 言語学の卒業論文を書きたい人にむけた話ですが、もしかしたらそれ以外の分野の人にも役に立つかもしれません。 特に、今回の記事では、論文を書く際に参考にしたい論文の書き方に関する本

          ((記述) 言語学の) 卒業論文の書き方〜おすすめの本編〜

          タガログ語の語彙を増やすためにおすすめの教材

          どの言語の勉強であれ、語学の勉強で重要なのは、勉強している言語の文法を習得することと語彙を覚えることです。 それがたとえ中学校の英語の授業であっても、大学の第二外国語の授業であっても、ビジネスで必要に迫られて勉強する言語であってもです。 この記事では、私が現在東京外国語大学オープンアカデミーで教えているタガログ語について、語彙を増やすためにおすすめの教材を2つ紹介します。 語学において語彙を増やすことの重要性どんな語学の勉強も、文法をしっかり習得することと、語彙 (ボキ

          タガログ語の語彙を増やすためにおすすめの教材

          (記述) 言語学の卒業論文の書き方〜やった方がいいこと・やらない方がいいこと編〜

          「(記述) 言語学の卒業論文の書き方」という一連の記事では言語学における卒業論文の書き方について紹介したいと思います。 言語学で卒業論文を書こうという人が、どういうところに気をつけたらいいのか、どういうスケジュールで進めたらいいのか、そもそもどのようにテーマを見つけたらいいのか、などについて書いていこうと思います。 題名の通り、基本的には (記述) 言語学の卒業論文を書きたい人にむけた話ですが、もしかしたらそれ以外の分野の人にも役に立つかもしれません。 この記事では卒業

          (記述) 言語学の卒業論文の書き方〜やった方がいいこと・やらない方がいいこと編〜

          (記述) 言語学の卒業論文の書き方〜スケジュール編〜

          「(記述) 言語学の卒業論文の書き方」という一連の記事では言語学における卒業論文の書き方について紹介したいと思います。 言語学で卒業論文を書こうという人が、どういうところに気をつけたらいいのか、どういうスケジュールで進めたらいいのか、そもそもどのようにテーマを見つけたらいいのか、などについて書いていこうと思います。 題名の通り、基本的には (記述) 言語学の卒業論文を書きたい人にむけた話ですが、もしかしたらそれ以外の分野の人にも役に立つかもしれません。 この記事では卒論

          (記述) 言語学の卒業論文の書き方〜スケジュール編〜

          タガログ語 (フィリピン語) の辞書はどれを使ったらいい?

          語学においてよい辞書を使うのは重要なことです。 とはいえ、英語のような大きな言語ならいざ知らず、タガログ語 (フィリピン語) のような言語となると、よい辞書を見つけることはなかなか大変です。 そこで、この記事では、タガログ語 (フィリピン語) を学習する際に役立つ辞書をいくつかご紹介したいと思います。 語学学習によい辞書は必須この記事を読もうとする方にわざわざ強調するまでもありませんが、よい辞書を選ぶことは語学学習には必要不可欠のことです。 語学学習というのは、どうい

          タガログ語 (フィリピン語) の辞書はどれを使ったらいい?

          タガログ語 (フィリピン語) はこんな人におすすめ

          2023年度から東京外国語大学オープンアカデミーでタガログ語 (フィリピン語・フィリピノ語) の授業「フィリピン語 (タガログ語) 初級Ⅰ (CEFR PreA1)【初学者向け】」を開講することになりました。 授業の仕組みや内容については既に note で書いた記事で説明しました。 では、そもそもタガログ語って、どんな人におすすめなのでしょう? この記事では、タガログ語 (フィリピン語、フィリピノ語) の学習がどんな人におすすめか解説したいと思います。 東京外国語大学

          タガログ語 (フィリピン語) はこんな人におすすめ

          東京外国語大学オープンアカデミーでタガログ語 (フィリピン語) の授業を開講します

          2023年度から東京外国語大学オープンアカデミーでタガログ語 (フィリピン語・フィリピノ語) の授業を開講することになりました。 正確な授業名は「フィリピン語 (タガログ語) 初級Ⅰ (CEFR PreA1)【初学者向け】」です。 東京外国語大学オープンアカデミーとは何なのでしょうか? タガログ語とはどんな言語なのでしょうか? どんな授業なのでしょうか? ここでは私のオープンアカデミーの授業についてご紹介したいと思います。 東京外国語大学オープンアカデミーとは?東京外

          東京外国語大学オープンアカデミーでタガログ語 (フィリピン語) の授業を開講します

          ラマホロット語のくせがすごい

          私が研究している言語の一つにラマホロット語という言語があります。 この言語はインドネシア共和国フローレス島東部とその周辺の島々で話されているオーストロネシア語族の言語の一つです。 あまりなじみのない言語かもしれませんが、実は言語学ではとてもよく研究されている言語の一つなんです。 そして、言語学的なくせがすごいです。 今回は「言語学な人々 Advent Calendar 2022」の一環としてこのラマホロット語の紹介をしたいと思います。 それを通して世界の言語の多様性

          ラマホロット語のくせがすごい

          『東京大学言語学論集 第44号』が公開されました

          東京大学・言語学研究室では『東京大学言語学論集 (TULIP)』という雑誌を毎年出版しています。 今年度も10月に第44号が刊行されました。 この号には研究室の大学院生をはじめとする言語学者の論考が収録されています。 今回はその『東京大学言語学論集 第44号』に収録された諸隈夕子さん、吉田樹生くん、林真衣さん、水石すみれさんの論文をご紹介したいと思います。 それを通して、言語学研究室でどのような研究をしているのかをお伝えしたいと思います。 『東京大学言語学論集』とは

          『東京大学言語学論集 第44号』が公開されました

          鈴木唯さんが日本言語学会発表賞を受賞しました🎊

          指導学生の鈴木唯さんが、日本言語学会第164回における口頭発表「トルコ語における事象統合と補文節の選択: コーパスに基づく量的研究」について日本言語学会発表賞をいただくことになりました。 おめでとうございます🎉 指導学生が栄誉ある賞をいただいたせっかくの機会なので、今回は鈴木唯さんがどのような研究をしてきて、どのような発表をし、どうがんばったのかについて紹介したいと思います。 それを通して、特に言語を研究する大学院生たちによい研究をするヒントを伝えられたらなと思います。

          鈴木唯さんが日本言語学会発表賞を受賞しました🎊

          「片言をいうまで」とフィールドワークの魔法の言葉

          2022年10月から始まった A セメスターでは「野外調査法」という授業をしています。 この授業は、言語に関するフィールドワークの方法論について学ぶ授業です。 参加者の知らない言語の話者に教室に来ていただき、その方の言語を調査しながら実習形式で言語調査手法を学びます。 その授業で金田一京助先生の「片言をいうまで」という随筆を課題として読みました。 この随筆をきっかけに、言語調査の方法論、そして、「何」(what) という魔法の言葉について考えてみたいと思います。 「

          「片言をいうまで」とフィールドワークの魔法の言葉

          東京大学・言語学研究室の紹介

          この記事では、私の所属する東京大学・言語学研究室をご紹介します。 東京大学文学部に進学を考えている教養学部前期課程の学生のみなさん、および、大学院で言語学を学びたいみなさんを主な対象として想定しています。 さらに、言語学を専門とする研究室とはどのようなところか興味のある方にも読んでいただけたらと思います。 「言語学研究室」とは?私の所属する「言語学研究室」とは東京大学文学部・大学院人文社会系研究科において言語学を研究・教育している研究室のことです。 学部では、文学部人

          東京大学・言語学研究室の紹介