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フランス外人部隊への挑戦#4の続きです

来たぜ…映画で見た訓練!

そろった行進が一丁前に出来る様になり、基本的な指示命令のフランス語を理解出来る様になると、基礎訓練と軍事にまつわる訓練が始まります。
それは、小さな頃に戦争映画で見たものそのものでした。

腕立てはしごきの基本

記憶に残ってる訓練だけでもこんなにエピソード満載!

◆2.5m飛び降りて、また這い上がる。
これ全く出来なかったけど、不思議と出来るようになるんです・・
◆枝から下がった5〜6mくらいのロープを手の力だけで登って降りる
これなんか、マジ無理かと思いきや出来るようになる。
◆針のついた鉄条網の下を匍匐前進!
楽しかった・・これだよこれ!これをやりたかった!
◆針金のトラップに引っかかって、真後ろで訓練用の手榴弾爆破された
マジっす…背中に当たったよ・・プラスチックの手榴弾・・ねぇ死んだよ俺
◆チームに分かれてマラソンバトル。負けたチーム全員で丸太担ぎながらギブアップまで腹筋
みんなの座高が高くてむしろ丸太にぶら下がってた…
◆深夜に急に起こされて何度もジャージや戦闘服、フル装備に着替えさせられて徹夜でマラソン
みんなキレまくってた!でもこれ立派な状況対応訓練なのよ。
でも何故か我慢できなくてブチ切れた自称元ソ連特殊部隊スペツナズの奴が、ユーゴスラビア紛争で実戦経験のある我らの教官シュミット軍曹のお腹にいきなり腹パン~チ・・ギョエ~!!!!!!!!!!嘘でしょ!
動じないシュミット軍曹は彼にこっちへ来いと連れ出して・・その後元スペツナズは我々の前から消えました。

※後に新兵練終了ギリギリで、その元スペツナズと再会しましたが、軍隊の刑務所(営倉)にぶち込まれていたそうで・・・もちろんシュミット軍曹にパンチした後、教官全員からガチの100倍返しを食らったそうです・・
映画の世界や!
そして、あんなのに耐えられない時点で元ソ連特殊部隊は嘘でしょう(笑)
◆フランス軍のレーション(軍用のご飯)はマジ美味い
これ、ミリタリーマニア界隈では有名な話です。流石フランス料理。
◆銃の先端にコイン乗せて、銃を撃った時に落としたら鉄拳制裁
絶対無理だと思うでしょう?空砲で練習するんですが出来るんです・・
出来る様になる、為せば成るんです!
◆250〜300m先の人型の的に当てる実弾訓練
これ、未経験なのにめちゃくちゃ成績良かった。そして、当たらなかった奴らは、みんな耳を引っ張られて何処だお前の弾!!!って言われてた
◆ヘビースモーカーの伍長のマラソンめちゃくちゃ早い
僕、長距離得意なのに完敗した・・兵士レベルでは体力と喫煙の因果関係は全く発見できなかった。
◆目隠しで銃の分解組み立て、なるはやで
これも、できるんすよね。だって出来なかったら・・戦場で死ぬから
◆将校(階級が結構上の人)の料理の用意
ワイングラスの綺麗さにうるさかった。さすがフランス
◆シャワー10秒
10秒で浴びれって言われます・・ですよね~

新兵訓練の仕上げは長距離行軍!

上記の訓練の半分以上はカステノダリの駐屯地で行います。
そして最終局面では、森の中の小屋の様な所で何週間か過ごして南仏の綺麗でのどかな自然の中で、風景とは真逆の地獄の訓練が行われました(笑)

フル装備で一泊二日60キロの卒業訓練

2日間で25キロと35キロに分けて行軍する訓練。
実際当時の僕がどれほど理解していたか分かりませんが、とにかくきつい
最終訓練が始まる事は理解していました。
この意地と根性で歩き続ける体験は、僕にとって恐ろしいほどの学びがある
体験でした。
例えば、以下が今でも鮮明に残っている学びです
◆彼らの一歩は僕の1.5歩
そう、全然足の長さが違う…彼らの歩幅で競歩するみたいな行軍します
から、ちょいちょい小走りじゃないと追い付かんのです。
おかげさまで、競歩以上のスピードでどのくらいまでなら歩き続けられるかの自分基準ができました(笑)
◆本気の全力で歩くと指先まで熱くなり、大雨ですら心地よい
皆様、全力のその先の全力で歩いたことありますか?
自衛隊経験者か競歩選手くらいしかないでしょうが、指先まで熱くなります
そして、行軍時に大雨に見舞われても心地よいシャワーにしか思えない。
更に体温で勝手に乾燥します…
◆角ばっている物は疲れる
球体力学とはちょっと違うと思いますが、何かの本に書いてあったカクカクした形の物を扱うと人間は疲れるという話。
車のハンドル・シフトレバー・お皿他、人が手に取るものは四角いと疲れるというのを、アサルトライフルFA-MASで実感しました。
形が角ばっていると長時間持ちたくないくらいなんか、こう、嫌なんですね
◆誰も弱音をはかない集団心理は非常に大切
実際、行軍訓練最中は本当に心が折れそうでした。
休もうよ、一旦止まろうよ、もっとゆっくり歩こうよ、足痛いよ、お腹減ったよ…そんな心の声を意地で誰も言わないことで、俺だって絶対言わない!
の心が形成されていきます。
現代の弱音を吐いていいんだよ?とは真逆の世界です。
◆ウォーキングハイを超える悟り直前の境地
歩いて歩いて歩き続けると、勿論ウォーキングハイになります。
そして、更に歩き続けるとみんな軽く瞳孔開いて歩き続けます。
そして、無に近づいていきます。何も考えない、何も求めない、ただ歩く…
比叡山の歩き続ける苦行の片鱗を理解出来ちゃいます。

これです、これ

そして森を抜けたらのどかな南仏の牧草地が広がる

歩いていたのはとにかく森の中、そこを抜けるとまるでハイジがブランコ乗ってそうな南仏ののどかな牧草地が広がっていました。
あと少しだとの声を仲間から聞くも、どのくらいの距離なのかは知りたくない。知ると疲れそうだし、そもそもこの風景が綺麗すぎて僕は疲れが一瞬無くなったのを覚えています。
そりゃそうだよね(笑)初めての海外だもの!
そして二日目夕方、遂に合計60キロの最終行軍訓練が終了します。
どう終わったか、どこについたか、その後どうしたのかあまり憶えていません。
思い出せるのは、寝袋を干したこと、仲間の目がギンギンなこと…

こんな感じの素敵な風景でした

最終行軍訓練を終えると、ほぼ新兵訓練は終わりと言っていいです。
この訓練を終えるころには、強靭な身体と精神が身についており兵士として
どこに出してもいい状態になっています。

この訓練を終えた後は、基地内の掃除ばかりです。
そう、これから我々を待っているのは、世界に展開している外人部隊のどこの駐屯地に行きたいのか?
新兵の話題はそこに集中しています。
僕もその時は何処に行こうかワクワクしていました!どこ行こう!?
でもその後、何故かその気持ちが揺れ動くのです・・

フランス外人部隊への挑戦#6へ続く


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