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地下鉄出身! 中央線快速電車のレア車両 209系1000番台

中央線快速電車の主力車両といえばE233系電車ですが、E233系が大勢を占めるなかで、2本だけ珍しい電車が走っているのはご存知でしょうか? この車両は、地下鉄を走っていた車両を転用したもので、中央線快速電車で進められているグリーン組み込み準備や、トイレの設置に関連しているのです。

(この記事は2022年3月に会員限定記事として配信したものです。)

中央快速線、レア車両の正体とは?

 中央線快速電車を走る珍しい車両の正体は209系1000番台という電車で、中央線快速電車では2019(平成31)年3月のダイヤ改正から使用されています。登場当初は、現在の東京メトロ千代田線に乗り入れる車両として常磐緩行線などで使用されていましたが、中央線快速電車の転用されたのです。

東小金井駅に進入する209系1000番台「トタ82編成」の快速東京行き(2019年5月27日、柴田東吾撮影)。

 209系と言えば、JR東日本で大量生産された車両として有名です。現在では千葉県下の総武本線・外房線・内房線などの房総地区に転用されたほか、伊豆急行に譲渡されたことでも知られています。209系1000番台は1999(平成11)年に登場した車両で、常磐緩行線・東京メトロ千代田線の輸送力増強用として作られました。2編成20両のみの存在で、209系のなかでも希少な車両なのです。

「走ルンです」の一族

 209系1000番台は地下鉄を走るため、209系のなかでは特別な仕様で作られています。非常時に使用する貫通路が前面に設けられたほか、地下鉄の車両規格の都合で車体の裾を絞らず、ストレートにしているのです。

 地下鉄では、駅の間隔が短い上に勾配やカーブがきついため、加減速の良い車両が求められます。209系1000番台では10両編成中の電動車の数を6両に増やし、ほかの209系よりも加速性能を上げているのです。

209系1000番台は地下鉄直通車両として製造されたため、車端部に誘導無線アンテナが設置されている。地上線用となった後も誘導無線アンテナは撤去されていない(2021年11月13日、柴田東吾撮影)。

 一方で、車内は従来の209系と変わりがなく、《置き換え始まるJR東日本のE217系 横須賀・総武快速線を走るった近郊形版「走ルンです」》で紹介したE217系と比べても基本的な車内設備に違いはありません。ただし、車椅子スペースの位置に違いがあり、従来の209系では先頭車に設置されているの対して、209系1000番台では両端から2両目の車両となる2号車と9号車に設置されています。

 また、209系1000番台では、既存の209系やE217系と同じ走行機器を使って作られました。現在も走っている209系やE217系では、機器更新を行ってVVVFインバータをはじめとする重要な走行機器を交換していますが、209系1000番台では機器更新を行っていないので、走行中の音は209系やE217系が登場した時の音を聴くことができるのです。209系1000番台で変わった点と言えば、2014(平成26)年にパンタグラフをシングルアーム式に交換した点が大きな違いとなるのかもしれません。]

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