新幹線との違いに衝撃 そして空港で失った台湾高速鉄道の思い出 交錯する700Tと700系
日本の新幹線技術を導入している台湾高速鉄道。700系新幹線とその兄弟車700Tの“まちがい探し”は楽しいものでしたが、思いもよらない違いもあり、その落とし穴へはまってしまいました。そして帰国時、台北の空港でも……。
(この記事は2020年5月に会員限定記事として配信したものです。)
出先で生まれた隙間時間 どう使うか?
海外へ出かけることになったとき、やっぱり自分は鉄道が好きなんだなぁと、改めて思います。
鉄道以外の取材で、私(恵 知仁:鉄道ライター)は海外へ行くことがしばしばありますが、そのとき毎度考えるのは、「隙間時間で触れられる鉄道はないだろうか」。早起きすればここまで行けそうだとか、せめて駅には行ってみようだとか、思うわけです。そして、そういう思考に夢中になっている自分に、改めて気付かされるわけです。
▲台北駅で発車を待つ台湾高速鉄道の700T電車(2014年11月、恵 知仁撮影)。
もっとも、その行先が日本国内だったとしても、私は隙間時間で駅に出没したり列車に乗ったりしているわけですが、それはさておいて2014(平成26)年11月、業務に関係し、台湾へ初めて出かけることになりました。
▲台北行きエバー航空機内で頼むビールは、もちろん台湾のものを(2014年11月、恵 知仁撮影)。
そして、思考の進路が「台湾で何に乗れるか乗りたいか」の方向へ自動的に構成され、時間とコストと欲望の落とし所を探った結果、日本の新幹線と深い関係がある「台湾高速鉄道」に乗ったのですが、欲望には落とし穴もあったのです。
台湾高速鉄道700T 初めてだけど初めてじゃない 不思議な感覚
▲左営駅で発車を待つ台湾高速鉄道700T電車(2014年11月、恵 知仁撮影)。
乗車したのは、台湾南部の高雄市にある左営駅から、台北まで、当時の全線およそ340km。日本の700系新幹線をベースに開発された700T電車を初めて見て、自然と“まちがい探し”を始めてしまいます。
まず参考までに、700系新幹線の普通車車内の写真を(JR東海のC編成)。喫煙車のため、荷棚に空気清浄機があります。
▲700系新幹線の普通車車内。JR東海のC編成(2020年2月、恵 知仁撮影)。
続いて、台湾高速鉄道700T普通車車内の写真です。
▲台湾高速鉄道700Tの普通車車内(2014年11月、恵 知仁撮影)。
この、違うんだけど、まったく別ではない感じ。上から眺めたときよりも、座ったときの目線のほうが、イスや窓の形がほぼ同じように見えるからか、700系新幹線の“血”を強く感じさせます。
▲台湾高速鉄道700Tの普通車車内(2014年11月、恵 知仁撮影)。
雰囲気は、よく乗ったことがある700系のそれっぽいものの、見慣れないものがある車内。シャッターボタンを押す指が止まりません。
▲台湾高速鉄道700Tの普通車デッキ。扉を開くボタンがある(2014年11月、恵 知仁撮影)。
▲台湾高速鉄道700Tは、乗降用の扉にも開閉ボタンがある(2014年11月、恵 知仁撮影)。
▲台湾高速鉄道700Tは、客室内に荷物置き場がある(2014年11月、恵 知仁撮影)。
▲台湾高速鉄道700Tは、飛行機のように、座席ポケットに安全のしおりがある(2014年11月、恵 知仁撮影)。
▲台湾高速鉄道700Tは、非常時に窓を割って車外へ脱出するためのハンマーがある(2014年11月、恵 知仁撮影)。
台湾高速鉄道700T 台北行き202列車の商務車で
さて、このとき私は左営駅を14時30分に発車し、終点の台北駅へ16時06分に到着する202列車へ乗車。新幹線のグリーン車に相当する商務車(ビジネス車両)を利用しました。
▲台湾高速鉄道の左営駅(2014年11月、恵 知仁撮影)。
▲台湾高速鉄道700Tの商務車(2014年11月、恵 知仁撮影)。
左営駅を発車したしばらくしたのち、アテンダントから無料のソフトドリンクとお菓子(クランベリーケーキ)が提供されました。ここも日本の新幹線グリーン車とは異なり、なにやら楽しくなってきます。そして「台湾高鉄」のロゴが入った水のペットボトルに、なんだかうれしくなってきます。
▲台湾高速鉄道700T商務車で提供されたドリンクとお菓子(2014年11月、恵 知仁撮影)。
しかし、このあと「新幹線とは異なること」に衝撃を受けるとは、つゆにも思っていませんでした。
衝撃「新幹線と異なること」 街では「普通にあった」ことによる油断
ここから先は
¥ 220
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?