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仕事を辞めると言ってみたものの

職場でまたごたついている。
別部署の管理者のある人とある人が仕事を辞めたいと言っているのである。
ある人のうち1人は、仕事を辞めて自分で起業することに挑戦したいらしく、
もう1人のある人は、責任に押しつぶされそうになっているようで、完全にバーンアウトしていてもう頑張れないと言っているらしい。
そんな2人をどうしても引き留めたい最上層部のメンバーと私との話し合い(そんなに偉くないのにいつもアドバイスを求められる人)の中で、話の流れでぽろっと「私もいずれ半年から1年くらいかけて世界をまた放浪する予定なので、タイミングを見て、数年以内には仕事を退くことにはなりますが」と会話の中に盛り込んでみた。


そして、「まあそれは今はいいとして、」と言ってby the wayして話を続けてみたら、意外と話が進んでいって(というか私が話を進めただけだが)、心の中で「あら、言っちゃった」と思いながら、他にやりたいことがある人を引き留めても仕方ないと伝えた。
2人をどうやって引き留めようかと頭を悩ましている人の悩み事をさりげなく地味にもう一つ増やしたらしく、「え、え、え…」と言っていたので、「あ、私のことなら今すぐにというような話ではないので」と念押ししておいて本題の話を続けた。
上層部の人たちは、私の信仰する「へぇそうなんだ」教ではなく「え、え、え…」教だったようだ。世の中にはいろんな宗教がある。



どうしてもやりたいことがある人に対して、そういうのを引き留めるのは違うと思う、応援して送り出してやればいいと伝えて、
もう一人の燃え尽きてしまった人に対しては、かなり辛くなっているようだったのでとりあえずすぐにでも休職を提案すべきと思うと伝えた。
的確かつそれ以外ないでしょという「へぇそうなんだ」教の私の意見だったが、まだ上層部たちのどうしようどうしよう念仏は続いていた。

辞めたいと言う人を引き留めることは、いろんな人の時間と心を消耗することだと私は思っているのだが、それだけでもないらしい。
なぜか、どうしようか悩み過ぎた人たちの結論として、燃え尽きている人も、やりたいことを叶えたいと言っている人もまずは長期の休職扱いにしてあげようということになり、どうやらゆくゆくは、私が仕事を辞めてやりたいことを叶えようとするタイミングになった時も、そういう選択肢を提示するという結論で落ち着いた。
少し予想外ではあったが、「人を大事にする」のがモットーな優しい職場なので、起業にチャレンジするその人のビジネスが軌道に乗るまでは、この職場に籍を置いておいてあげようという配慮のようだった。
うちの職場は、勝手人間な私に対して、文句の一つも言わずに長年働かせてくれているだけあって、本当に器が広い職場だと感心した。
働き方改革とか何とか言って、国が画一的な制度を全企業に敷くのではなく、そこで働く人の特性やニーズに合わせて現場で柔軟に対応すればいいと思うのだが、現実はそんな簡単じゃないのだろうなぁとも思う。
今辞めたいと言っている2人についてはまだこれからも話し合いを重ねてそれぞれが納得できる着地点を探すことにはなりそうだが、今すぐに辞める以外の選択肢があることが、その2人の救いになればいいなと思う。

私はと言うと、そんな優しく理解ある職場とは言え、未練なくスパッと辞めて旅立ちたいところもあるし、いったん1年ほど休職させてもらって旅をし、結局復職せずそのまま退職となってもその時はその時、として許してもらえるのであれば長期の休職扱いにしてもらうのもアリかと思った。むしろ都合が良すぎる気もするし、普通の神経なら遠慮するわなとも思う。
しかし、今提示されたその選択肢も、その時の状況にもよるし、トップの全員がそんな柔軟な対応に賛成するとも思えないので、話半分で聞いておくことにし、「まあ私はまだ先ですけどね、もうしばらくはここで仕事を頑張りますよ」と伝えた。
とりあえず私の意思表明はした。どさくさ紛れのむちゃくちゃなタイミングで自分勝手ではあったが。何だかとてもスッキリした。

そんなことを言って、いくらなんでもさすがに50歳の手前で世界を放浪するって、結局実行に移さずに働き続けるんだろうな…。
一般的な反応はそうだと思う。そうやって、やりたいことを諦めたり忘れたり流れたりして生きている人の方が多いから。
しかし我が職場の上層部はそんな風に捉えていない様子だった。どうやら私のことはある程度分かっているらしい。
コイツなら本当にやりかねない。
そう思っていただけたようで安心した。
これまでの間、有休を使って旅をしまくってきた(休みまくっていた)甲斐があった。

あとはお金を貯めるのみ。
これこそが一番難しい。
私は恥ずかしながら、貯金ができたことがない。
あんなに長年挫折し続けているダイエットですら、何を隠そう大成功したことが2回あるのに貯金は常にゼロだ。(その2回とは、ノロウィルスになった時と、長期インド旅から激痩せして帰国した時だけだが、それでもダイエット成功とカウントしている。)
仕事を辞めること、言いたいことを伝えることなんて私にとっては割と楽勝だが、貯金のことを考えると気が遠くなる。
なんちゃらコミュニケーションズの山寺宏一に相談したいくらいだ。
とりあえず、今日のランチは家から弁当(シチューの残り)を持ってきてみた。
そしてuberのアプリを削除してみた。
さて、どうだろうか。
食費は減らしたくないと思って自由気ままに食いたいものを食って生きてきたが(だから太るって言わないで)、食費こそ減らさねば…という気もしてきた。実現可能かは不明。

職場に伝えることは思いがけず難なくクリアしたが、長旅への道のりはまだまだ果てしなく遠い私であった。



uber eatsとのお別れ会を1人でしました。

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