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専門誌掲載コラム「新しい時代の新しい日常?」

9月も終わりの今、猛暑も過ぎ、爽やかな空気となっています。今年の夏はいつもと違う夏、ニューノーマルな生活様式と言われましたが、そもそもニューノーマルな生活様式とは何なのか、知識の泉インターネットさんに聞いてみると「新(ニュー)常態(ノーマル)」という言葉だそうで、「新しい常識・状況」という意味だそうです。広義には、国の在り方考え方、働き方、家庭や学習の環境変化といったところまで言うようです。市井の私たちレベルで考えると、TV会議システムやリモートでの在宅ワーク、実店舗ではないECでの購買、飲食店もデリバリーやテイクアウトをやり、マスク着用の常識化(していないと非常識)、ソーシャルディスタンスの確保、街ブラ、映画館や美術館、喫茶店で一休みというような不要不急の外出はあまりしなくなる(そうでもなくなってきていますが・・・)、という事を指すようです。自粛の2か月間のリモートワークやTV会議システムでのICTの発展進化は、通常時の2年分という話もあるようです。
 さてそのニューノーマル、技術の現場はどうなのか、最近のスケジュール帳を紐解いてみました。
某月某日(日)夜間作業。保守会社担当者と待合せ・出向・作業・帰宅。
某月某日(月)明け休。昼過ぎまで寝て、録りためた古い映画のビデオ鑑賞。買い物掃除洗濯炊事。会社ではNTT回線増設工事(これも変わらず担当者来社で作業)。
某月某日(火)企画の相談受け。遠方とどう繋ぐかPCリモートで繋ぐかの相談。その他、この際だから配信もしたい、あれしたいこれしたいと色々のご相談。やれやれ。
某月某日(水)設備更新の打合せは電話とメールで。面と向かって打合せしたほうが早いなあと思いつつ。その他来客対応あり、打合せ室にて。
某月某日(木)会議資料作成。他部署と打合せ。打合せ中にシステムアラーム発生、対処にわらわら。いつも通りメーカー担当者からのリモート作業(これは前から)で解決。よかった。
某月某日(金)会議。席は1つ飛ばし。会議後、ミーティング。その後、他社と10人以上参加のリモート会議。自分の顔が映るのが恥ずかしい。その後、週末点検・メンテナンス実施。いつも通り。
某月某日(土)休み。掃除洗濯炊事買い物。
こうしてみるとニューノーマルなのはリモート出演、リモート会議、会議時のディスタンスぐらいです。最新技術、最新技術を標榜する我が部の新しい日常は、実はコロナ前とほとんど変わらず、結局地味なインフラ作業や打合せ作業、保守作業となり、その作業は現場でやらざるを得ず、リモートが難しいなあと思います。さらにアラーム対応やトラブル対応、一瞬一秒を考え動き判断し、あたふたと作業するときのマスクほど“うっとおしい”ものはないです。
リモート会議というものも、特に社外の多人数の会議では全員の表情や阿吽の呼吸が分かりにくく、やはり面と向かってやったほうがいいのではないかなと思います。威勢のいい発言者ばかりの意見が目立ち、まとまらず会議が発散するような気がします(もしかすると、この感覚はデジタルネイティブ世代ではそんな風に感じないのかもしれません)。
 そんなことを取り留めもなく考えながら、人類はこのニューノーマルな世界でもうまくやり繰りしながら進んでいくのだろうな、と思います。リモート側に振り切ったコミュニケーションも試しながら、やはり面と向かった生身のやり取りもして、その場その場にあったコミュニケーションを取捨選択して行くのでしょう。なんだかんだ言っても、人間は集団生活をしながら様々な手段で意思疎通・コミュニケーションをする生物です。肉食動物の跋扈する太古に、こんなひ弱い身体の人類が絶滅せず、ここまで進化・発展してきたのは、「技術」と「言葉」と「言葉以外」の情報収集能力・コミュニケーション力があったからだと思います。
ニューノーマルな時代では、最新の科学技術でコミュニケーションの不足をカバーしながらディスタンスを取りながら、意思疎通は密に、やっていけたらいいのではないでしょうか。
そして、この新しい時代に、古い技術かもしれませんが身近な肌感覚のある温かい技術によるある意味「密な」コミュニケーションも、再度、新しい時代の新しい日常になっていけばいいな、と思う今日この頃です。

(2020年11月掲載)

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