最先端の過疎地域で自然との付き合いを考える(2)
周防大島町佐連地区の方々に、「大地と海の再生講座」の企画を持ち込んだ経緯について前回書きました。
今回は、講座の前後を含めて実施の様子や実施してみて感じたこと、自分自身の変化について綴ります。
開催当日の2月3日は、だいぶ前から雨予報…
大雨じゃなければ開催しよう!と講師の方々や地元のさかえさんとは同意していたものの、ただでさえ寒い季節に雨予報で、参加者は来てくださるのかとても不安でした。
前日には何とか持ち直し、当日は午前曇り、午後はしとしと雨となりました。
〇講座前夜
大地の再生士、杉本圭子さんには前日に来ていただいて、現地がどのようになっているか(9月の下見をしたときからの変化)、参加者にどんな作業をしてもらい、どんなお話をするか。
現場の土地を管理するさかえさんは、今後の開拓に向けてどんなアドバイスがほしいか、参加者に手伝ってもらいたい作業は何か。
すり合わせを行いました。
夜には、もう一人の講師、新井章吾さんも合流し、わが家(わが宿)で食事をとりながら懇談。
自営業で宿をやっていると、イベント企画をしたときにお招きした方々に泊まっていただき、とても贅沢なトークタイムを持てることが特権となります。
〇必要な素材は”現地”にある
大地の再生の作業でつかう、大小の枝・落ち葉・竹炭。田舎はどこもそうだと思いますが、ほぼほぼ現地で調達できます。
枝→→事前の開墾作業により、たくさん現場にあり。処理に困ったゴミと思っていたものが資材に見えてくるから不思議です。
落ち葉→→佐連地区を取り囲む農道に大量に堆積していたものを、さかえさんが道普請で寄せ集めておいたものを活用。
竹炭→→少しならうちの竹ボイラーの燃えカスがあるけど、大量となると…そう思っていたら、まさかの偶然。ご近所さんがみかん畑の日当たり改善のために夏に大量に伐採した竹を、焼いているではありませんか…!!
すぐに電話して、分けていただけるようお願いしました。使う予定はなかったそうで、片付いて助かると。win-winに感謝!
土壌改良のための竹炭は、一般的に販売もされているようです。山口県は竹林面積が全国4位。宝の山(かも)。
〇ブリーフィング会場は新築の「地家室園地拠点施設&休憩所」
1月19日に開所したてのこの施設。多目的室(環境省建設、周防大島町管理)を予約して利用させていただきました。一般にこちらを予約して利用するのは、今回の海辺の会が記念すべき第一号だったそうです。
〇”大地の再生”をキーワードに集まってくれた参加者の方々
参加者は12名。町内の方だけではなく、近隣市町や山口市や岡山からも、足を運んでくださいました。
お昼に、参加者の自己紹介とともに参加のきっかけや大地の再生への想いを伺うと、はるばるここまで来て、参加費まで払って、人の土地の手入れを手伝うことを通じて得られるであろう学びと感動を期待してくださっていることがひしひしと伝わってきました。
自分のお店(宿兼飲食店をやっています)でやるイベントは、友人知人やご近所さんにお声掛けをして集客することも多いです。
が、今回の講座は、価値と意味を理解して参加していただかないと、「(自分の土地だけでも大変なのに)人の土地の整備に参加費払って行く意味ある?」と思われてしまいそう。そう思って、関連映画の上映会、その後のクロストークなどのステップを踏んで、アンテナにキャッチしてくれる方を求めていました。
映画上映に参加してくださった方が、「この人にも一緒に参加してほしい」と思う友人知人に声をかけてくださったり。
10月のフィールドワークに参加された方が、今回も参加してくださり、理解が深まったとおっしゃってくださったり。
何より参加された方々は、ご自身のフィールドを持っておられる方が多く、今までの手入れの方法と照らし合わせたり、今後はあそこをああしてみようなど、具体的な構想をされていることが伝わってきました。
実家の管理を継いだものの、荒れた山をどうしたものかと考えていた。
昔の人は似たようなことをしていた気がする(子供のころのお手伝いの記憶)。など
長めのお昼休憩の間に、様々なお話を聞かせていただけました。
終わってからも、感想を寄せてくださったり、ご自身のSNSで発信しておられたり。
講師の方々と現地のさかえさんとのグループメッセンジャーでのやり取りも、いまだ続いています。
この講義が単発ものではなく、始まりだったということを実感しています。
〇つらかった作業がリフレッシュタイムに変わった
私個人の変化としては、まさに植物との戦いが植物とのふれあい・対話に変わったということ。
道にはみ出す草木や畑を飲み込む草。私にとって、それらはこれまで”倒すべき敵”だったように思います。除草剤は使わないにしても、地表ギリギリで草刈りしたり、根こそぎ抜き取ったり。かといって戦いは終わらない…
折り合いをつけながら彼らと共存していくしか、人の減っていく田舎ではやりようがないし。滞りなく水や空気が流れれば、井戸水だよりのわが家も末永く地下水を活用でき、海の生き物も元気になるなら職も豊かになります。
そんなところを思い浮かべながらやる藪の手入れは、今までよりちょっとだけウキウキします。
まだ植物のパワーが強大になるのはこれからの季節ですが、一年後も同じ気持ちでいられるよう、無理せずコツコツやっていこうと思います。
今回の企画に着手してから購入したこの本。
イラストがいっぱいあって、熟読するとはなしにパラパラと眺めることが多いです。
映画を観た後、講師の方と話をした後、そして今回の講座の後に観ると、より理解が深まるし、自分の手を入れている土地のここにこれやってみようなど、具体的なイメージに結び付き始めました。
作者の壮大な想いも込められていますが、やるのは小さなスコップや手鎌、剪定ばさみからできるというのが、老若男女、体力問わず気軽に取り入れてみようと思えるところだと思います。
大規模にやるときにも、物理的な水や空気の流れを想像しながら、自然の持つ力を人の都合にも良いように発揮してもらう工夫を施しておくことが、その後の管理の簡素化にもつながるのではないかと思えました。
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足掛け8か月にわたり、時間をさき、労力を割き、気持ちをさき、企画に深く携わってくださった講師やさかえさんをはじめとした佐連地区の方々に深い感謝です。
ご参加くださった皆様にも感謝と共に、それぞれの土地で取り組んでいかれる様子を楽しみにしていますとお伝えしたいです。
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今回の企画実施をはじめ、周防大島を囲む海辺を楽しみながら守っていこうという活動をしています。「海辺の会」をよろしくお願いいたします!
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