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移住・二地域居住と地域の関係づくり(R6.6一般質問)

一般質問の内容を考えながらちょっと前に書いたNOTEはこちら。

完全なる移住・定住だけではなく、二拠点をもって行き来する生活は、コロナ禍を経て、めずらしくないライフスタイルになってきています。周防大島ですら、そういう生活を既に実践されている方々が拠点を持っておられます。

今の周防大島町は、果たして二地域居住のようなライフスタイルの方々をどう受け止めているのか。また町として率先して増やしていきたいと考えているのか?
そのあたりがよくわからなかったということもあり、今回の質問をすることにしました。


周防大島町への二地域居住者等の流入状況

本町は、長年の取り組みにより、着々と移住し、定住する方が増えていると感じています。
また、本町の環境が気に入ったり、人や仕事のご縁があって、二地域居住の一拠点として居を構える方も増えてきていると感じています。
そして、ゆくゆくは本町での生活の基盤を作り、完全に移住、定住したいと考えておられる方もいると伺います。

そういう方々とお話をするととても刺激を受けますし、 私たちのように暮らしていると慣れてしまって、見えなくなりがちな地域の魅力や課題を再確認させていただくことも少なくありません。

人口の少ない集落では、こういった方々も集落活動や集落の環境維持に関わってくださり、助けられているというところもあると伺っております。

一方、 都会から田舎に移住する、特に新たなコミュニティの中に関わる、暮らすという場合、共有地の草刈りなど地域活動に不慣れだったり、自治会組織の意義について理解が不十分だったりして、 馴染めず、摩擦が起きることもあると聞きます。

そうなると、入ってこられたかも、地域の方も無駄に疲弊することになりかねません。

国の二地域居住促進施策がスタートする

国では、二地域居住を促進する制度創設を盛り込んだ改正広域的地域か地域活性化基盤整備法が5月に成立しました。

これは、

人口減少がどんどん進んでいる地域では、住んでいる方の生活環境を維持していくことが難しくなる恐れが高まるということが心配されており、そういう地域の活性化を図るためには、移住、定住だけではなく、人の流れを作り拡大することが課題だ

という考え方のもとで、
都市と地方などに生活拠点を持つ二地域居住を推進するために、

  • 市町村が特定居住推進計画というものを策定したり、

  • それを策定するための協議会を作れたり、

  • 市町村が二地域居住促進に関する活動を行うNPO法人や 民間企業を特定居住支援法人として指定し、空き家情報や仕事情報、イベント情報などを提供する活動をしやすくしたり

という内容になっています。


一般質問ダイジェスト

Q:周防大島町は、二地域居住を推進するつもりはあるの?

現在、 町として、移住・定住の促進だけではなく、二地域居住の推進をする方針があるの?という、そもそものところでの質問をしました。

A:つもりはある!

本町は、余暇を過ごすには快適な環境で、 将来的な定住への足がかりとしての可能性も含め、二地域居住を推進をしてまいりたいと考えています。

この度改正された法律の制度利用については、二地域居住における居住先での暮らし方にもいろいろな形があることから、地域での受け入れ体制や、 二地域居住者の生活スタイルの多様化についても検討していく必要があると考えいます。
また、本法律では、促進区域の設定や必要な施設整備など多方面との連携等も考えられるので、県とも協議をしながら、この制度を本町の将来構想に照らして吟味していくことが必要だと考えています。

Q:町として感じている課題、ミスマッチを防ぐための取り組みは?

地域と移住者、二地域居住者等が理解し合い、共に暮らしていくために、町として感じている課題、ミスマッチを防ぐために取り組んでいることがあれば、 現状の認識を教えてください。

A:移住される方と地域の方との移住に対するイメージの解離をできるだけ小さくしていくことが必要

 移住される方と地域の方との移住に対するイメージの解離をできるだけ小さくしていくことが必要だと考えています。

転入される方は、仕事の都合や悠々自適な島暮らしをイメージされる方など様々です。
地域の方は地域の一員として期待をする中、 転入された方は、今までの生活では求められなかったことを受け入れることに抵抗があり、歯車がかみ合わないということが起きているのではないかと推察しています。

本町でかねてから取り組んでいる移住相談では、”地域に溶け込む移住”を念頭に、暮らしていく上でいいことばかりではなく、その方にとっては負担になるかもしれない面なども十分に説明し、 移住していただくよう努めているところです。

また、「お試し暮らし住宅」の活用や、 先輩移住者に相談に乗っていただくようお繋ぎするなどして、本町での暮らしが具体的にイメージできるよう案内をしているところです。


人口減少の進む本町にとって、新たに転入される方は貴重な人材であり、地域の活力になる方だと考えています。
議員ご指摘の通り、すでに新たに地域の一員となった方に支えていただいている地域も多くございます。

「移住」という言葉が一般的になっていますが、住み始めれば一住民です。
長い目で、全住民、全地域挙げて持続可能な地域づくりを目指して、互いに理解し合い、 互いに受け入れられる風土を根付かせていくことが大切なことです。

今後も引き続き、「地域に溶け込む移住」となるよう、移住相談者に寄り添い、しっかり親切にアドバイスし、伴奏支援を行いながら、全庁を上げて定住につながる政策を進めてまいりたいと考えています。


Q:「空き家バンク」を活用できるのは、住民票を移す気のある人だけ?

空き家定住対策課で所管されている空き家バンク事業では、移住したいと考えておられる方については、窓口に相談があったりと事前に接触する機会があると思います。

空き家バンクの実施要領を改めて拝見すると、

空き家バンクに登録してある物件を利用したいときは、空き家バンク利用登録申請をし、町が、空き家等に定住して地域の活性化に寄与する意欲があることを確認の上、 適当であると認めたときは空き家バンク利用者台帳に登録しなければならない

となっています。

この中に出てくる「定住して」というのは本町に住民を移してという意味かと思いますが、二地域居住の一拠点として、住民を移さずにという場合は空き家バンクは活用できないということですか?

A:今は住民票を移すのが条件だけど、見直しも検討あり

現在の要項だと、おっしゃるとおり「定住」を目的とした空き家バンクというふうになっています。
しかしながら、二地域居住の推進にあたって、この要項についても、変えていくよう検討をしてもいいのかなと思っています。

Q:空き家バンクの要領で、事前の利用登録を必要とした理由は?

空き家バンクの”利用登録”という制度は、令和6年4月より必要となったというふうに移住定住促進のサイトに掲載されていました。


この手続きを踏むようになった理由を教えてください。

A:利用希望者の情報をしっかり把握して調整できるようにするため


町の方で利用希望者の情報をしっかり把握した上で、相手との調整がしやすいようにということで改正をしました。

Q:移住者等の情報をキャッチするために町外不動産事業者とも連携しては?

二地域居住も今後は推進するということでしたが、どのように流入者の情報をキャッチしていくのかという点について質問します。
以前に比べてインターネット等での情報収集がしやすくなっており、さらに、新聞折込チラシで、町外の不動産業者さんも町内の物件を取り扱われているということがわかります。

移住する方皆さんが役場の窓口にアクセスするわけではないということと、
二地域居住をしようとする方などは空き家バンクが使えないこともあり窓口にアクセスする機会がほぼないというようなことになると、中には、地域の様子をよく知らないままに、物件を購入し活用し始めるということも、起きてくるのではないかと思います。

移住者等(二地域居住者も含む。以下同じ)の情報をキャッチするための手段として提案があります。
物件の動きをきっかけに移住者等とつながるということです。

現在、空き家バンクの物件取扱い事業者を 町内の不動産事業者に限定してあると思いますが、本町の不動産物件を取り扱っている町外の不動産事業者にも広げてはどうでしょうか。
そうすれば、町内の住居を探している方が窓口とつながる可能性が高まると思います。
また、空き家バンク登録物件に限らず、町内の不動産の売買を仲介する際に、例えば一言、不動産業者さんに町の窓口を案内してもらえるよう協力依頼をするなど、そういった「つながる糸口」を作るということも1つの手立てではないかと思います。

現在そのような協力体制があるかどうかと、町外の不動産業者さんに空き家バンクの運用に関与してもらう可能性があるかどうか、お伺いします。

A:町内事業者に配慮しつつ検討課題にはしようと思う

現在、本町では山口県宅建業協会柳井支部に所属されている不動産事業者のうち、町内事業者のみと空き家空き家バンク事業を連携して行っています。

窓口情報の提供というような広い意味も含めて、町外の事業者とも今後提携できるかどうかということは、今後の検討課題ということで、機会があれば一応そういった話はしてみたいなと、思っております。

Q:民間も含めた地域とのコーディネーター活用を

先ほどの答弁で、空き家定住対策課で、移住相談対応をする際に、地域との橋渡しをするような配慮をしながら地域の情報をお伝えしていると、
希望者には伴奏しながらご案内しているという回答をいただいたところです。

空き家定住対策課が窓口としては1番中心になるとは思いますが、庁内のほかの部署や民間との連携というのも重要になってくるのではないでしょうか。

例えば、政策企画課の地域づくり班とか、町内4地区にある総合支所と連携して、 また、仕事として農業漁業に興味があるという方には農林水産課と連携するなどして、住民の中で、 地域コーディネーターのような案内人を見つけ、行政では知らない地域の情報だったり、行政の口からはなかなか説明しづらい実態の部分など、島の実際の生活について伝えてもらうというような、地域コーディネーターのようなような役割を担ってくれる住民の方々と連携してやっていくということも必要なのではないでしょうか。

A:全庁的に取り組んでいるし、民間との連携も視野に入れる

定住対策については、担当課だけがやるということではなくて、先ほど答弁したように、全庁的に取り組む事業だと思っています。
”全ての業務が定住につながる”という考えのもと、政策を進めていく必要があると以前から思っています。

住民による地域コーディネーター の提案については、私も二地域居住をしている方と話す機会があって、かなり刺激を受けましたし、勉強になったなということがありました。やはりそういった方と連携を取り、実際に体験された方のお話しというのが、現実味も増して、二地域居住を推進する施策にも合致するんじゃないかと思います。
そういったことを考えると、そのような取り組みも、真剣に考えていく必要があろうかと思っています。

Q:町の顔としての課の心意気を聴かせて!

空き家定住対策課は、定住対策と空き家対策という本町にとって大きな課題を取り扱う部署だと認識しています。

空き家対策となると、今まで家族などが大切にしてきた物件を悩んだ末に他の誰かに使ってもらおう、手放そうとしている方が対象になりますし、

定住対策となると、大島での暮らしを検討し、不安と期待を抱えてドキドキしているような方が対象になろうかと思います。

そういった方々と町とのファーストコンタクトが空き家定住対策課であるということも多いのではないかと思います。

個人の財産を次のまちづくりにつなげる可能性を見出し、
本町の関係人口や定住人口を増やすためのプロモーションを担うという、
ほかの行政窓口とはまた別の配慮やスキルが求められているのではないかと思います。

担当課として、そういった業務にあたって特に心がけておられることなどがあれば、お聞かせください。

A:空き家定住対策課長の想い

空き家定住対策課が2年前に創設されましたが、
空き家と定住とを関連させて、より良いまちを作っていこうというコンセプトで始まったものと思っております。

自分はこの4月にこちらに配属となりましたが、私もUターン してきたものの1人なんですが、強く思うことは、今まで実際にUターン、Iターンされた方の体験談、そういったところが新たに入ってこられる方の大きな力になってると思います。

それから同時に、今、空き家問題については、長年空き家状態になったものだとか、相続をされたものだとか、様々なものがあります。
空き家となってからの年数も様々で、もちろん町の財産ではないですが、移住者の方、これから家を持たれてる方に、これをお繋ぎするっていうところが私たちの任務だと思っております。

そういった中で、移住されてきた方のご意見や、地域の方々のお力添えをいただきながら、空き家を活かしていって、移住が進み定住に繋がっていければと思っています。

世の中の動きをとらえて周防大島に照らし合わせて

世の中の動きが変わっていくのがとても早いので、そういった情報をキャッチしながら、周防大島の現状と照らし合わせて、私たちも提案をさせていただきながら、政策の推進を一緒にやっていきたいなと思います。


振り返り:後追いではなく能動的に

首都圏に近い地方では、二地域居住、教育移住など、大きな動きがあったと思います。それ以外の地方でも、拠点を探していた方々が集まっているところもあると思います。
(以下は、2年前、4年前の対談記事です。)

周防大島町は、どんな二地域居住者に来てもらいたいのか。ペルソナを想定したプロモーションや環境整備が必要なのではと思います。

本町が、コロナ禍に、世の中の動きをキャッチできていたか(外に出れない中で、情報を収集分析していたか)、アフターコロナを見据えた施策の立案ができていたか(新しいチャレンジを構想できていたか)。

橋に貨物船がぶつかったり、逃走犯が潜伏したりと、受け身なネタで全国ニュースに露出することの多い周防大島ですが、
本当の魅力を能動的に発信していかねばと改めて思いました。
言語化するのも簡単ではないですが、実際に移住や二地域居住後に選んでくださった方々と一緒に取り組めば、過剰でもなく過少でもないリアルな周防大島が伝えられるのではないでしょうか。


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