FBライブを"ポチッ”から癌サバイバーに 第2話
恐るべきドイツの新幹線、ドイチェバ一ン
「えっ!がん!!どういうことですか??」
「悪性の腫瘍です」
が``~ん。そんな馬鹿な。私の家系に癌になった人はいない、病気になるとすぐに病院に行くし、定期健診ではいつもお医者さんに健康だと褒められていた。癌のはずはない!あの若いお医者さんは、間違っている。とりあえず検査結果を待とう。
新しい職場までは、片道通勤時間が30分以内。仕事も今までの色々な部署での経験も活かされ、充実していた。この仕事は辞めたくない。癌のはずはない!
希望の仕事がフランクフルトになく、250㎞先のオフィスに通勤していた時期があった。毎朝始発の新幹線に乗って、乗り換え、片道3時間。7時半からのスタ-トでフルタイム、新幹線の中で寝れると思ったのが誤算だった。定刻通りに走らないドイツの新幹線。それどころか、途中でアナウンスも何もなくず一と止まったり、プラットフォ一ムに着くと、新幹線はキャンセルになっていたり、故障でしょっちゅう止まる。いきなり電気が消えて真っ暗、何が起こったのかわからず、アナウンスもなく闇の中。夏はク一ラ一が、ガンガンにかかっているか、(肌が3倍ぐらい分厚いドイツ人が寒くて震えている。だから毛布を常に持参)または、故障してかかっていないか(乗客は汗だくだく)「乗客数がオ一バ一です。重すぎて動かないので、下車してください。どなたも降りないので、発車できません。3千円払い戻しますから、下車してください!」。どこかの駅に到着すると、「運転手がどこかに行って戻っておらず、発車できません!」というアナウンス。『もっと他のまともな理由は作れられへんの?!』食堂車から火がでて、急遽最寄りの田舎の駅で下車。駅員にどの新幹線に乗れば目的地まで一番早く着くのか、と聞くと、わからないという答え。待ちに待って、「X番線に新幹線が到着します。これにご乗車ください」というアナウンスが聞こえると民族大移動かのように、乗客はそのホ一ムに向かう。もちろん、エスカレーター、エレベーターは故障中。私は通勤で荷物は小さかったが、旅行者は大きいス一ツケ一スを運びながら階段での移動。一体どんな国なんだ!と、思ったはず。30年住んでいる私でさえそう思ってしまう。定刻時間より1時間遅れると1200円ほどのバック。毎月の定期代の数万円に、半額ほど近くキャッシュバック。毎日、今日こそは新幹線、ちゃんと走ってください!、と祈りながらの通勤。クタクタで家に着くと、待ち構えていたかのように2人の子供は同時に学校であったことを私に話し出す。学校からのドイツ語の連絡に目を通し、サインをしなければならない。心を落ち着かすために、大好きなリ一スリングの白ワインを飲む。ほろ酔いになると陽気になって、子供の学校のこと聞いて、夕食の準備も楽しくできた。空き瓶の数は日々増えていった。。。
毎朝4時起き。子供の朝食の準備と私が戻るまでの間食の準備。寝坊してはいけない、夜中に何度も頭の近くにあった携帯を見て、ほとんど眠れなかった。だからこそ、近くに転職ができたことは本当に嬉しかった。
左耳が痛み出した。変な痰もでてきた。まさか.....嫌な予感がしてきた.....
約10日後の検査結果は、副鼻腔ガン、ステージ3/4、鼻の奥の脳に近い箇所のため手術はできない。放射線治療と抗がん剤投与になると。
頭が真っ白になった。
「治るんでしょうか」
「この大学病院のレベルは非常に高い。絶対に治るから!」
「費用はどのぐらいかかるんでしょうか」
「健康保険でカバ一されるので、貴方にはかからない」
そして、若い女医さんに治療詳細は抗がん剤の医師から説明を受けると言われた。
どうして?どうして?仕事はどうなる?娘はどうなる?これからどうなる??頭の中で同じ問いが繰り返された。
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