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FBライブを"ポチッ”から癌サバイバーに 第3話

マスク

先日の若い女医さんは、毎週火曜日に新患者の治療方法を医師が集まって話し合うので、その後に治療方法が伝えられると言った。

フランクフルト大学病院はマイン側沿いにあり、腫瘍学のある病棟の1階、2階は婦人科系で、生後まもない赤ちゃんと幸せそうなカップルがいた。4階の廊下に飾られている白黒の放射線治療のカプセルのような写真や白黒の写真はすべてグロテスクに映った 。

若い先生が私を呼んだ。放射線照射33回、7回の抗がん剤投与、同時進行の治療。何十枚かの治療の説明書が渡され、副作用の話を始めた。味覚、臭覚の喪失、体重減少、口内炎、喉の炎症、吐き気、脱毛、口の渇き、唾液が呑み込めなくなる、などなど、、、味覚は戻らない可能性もあるが、大抵は、時間はかかるが戻る。肥満体だったら、体重は減ってもまだ肉が残るが、私は細いので胃ろうを、そして最低週2回の採血をするため、皮下ポートからも採血できるので、したほうがいいと言った。

「お腹に穴をあけて、管を入れ、栄養をとれるようにします、皮下ポートも入れてよかったって後で絶対に思いますよ」

お腹に穴??皮下ポ一トを身体に入れる???

わからないことだらけで、「私は口から食べれます!」としか、答えられなかった。

「98%は食事がとれなくなる。あなたはすでに細いので、これ以上痩せられない」

胃ろうに皮下ポ一ト...この言葉を聞いた後、先生の口の動きは見えるが、音声は消えた。耳にもう何も入ってこなかった。

抗がん剤投与のための2泊の入院日は、私はシングルマザ一なので、子供が父親の家にいく毎週金曜日から日曜日までに変更をお願いしたところ、先生はすぐにどこかに電話をし、変更してもらえた。

何枚かの書類にサインをし、放射線治療に必要なマスクを作るように言われた。マスク?コロナでしてますけれど、こんなのじゃないの??

「治るんでしょうか?」もう一度、尋ねた。

「治療は過酷だけれど、高い確率で治る」

歩けなくなった時に通院に必要な送迎車も健康保険が負担するので、運転手のサインが必要な用紙をもらった。歩けなくなる....でもこの費用も健康保険から!?

*ドイツの健康保険費用は、雇用者半分、残りの半分は給与から天引されているため、病院にいっても健康保険カ一ドを提示するだけて何も支払う必要はない。処方箋がでるお薬も通常は無料だが、たまに支払う時は大抵10ユ一ロ(1300円ほど)。入院すると(炭酸水、ミネラルウォーター、ハ一ブティ一、コ一ヒ一飲み放題、3食事つき、Wifi付)1日10ユ一ロの請求書が届く。前年度の年収によって追加健康保険料金が計算され、私は昨年は、年間5万円ほどの追加自己負担額。私と子供のお薬や入院費に追加で支払った費用が、この5万円以上になると、その年は何も支払う必要はなくなる。今年は病気で去年の年収が減ったため、年間の自己負担額は半額の2万5千円ほどだ。保険が適用しない治療ももちろんある。歯のインプラントや東洋医学など*

マスクを作りに向かいの病棟の地下に行った。放射線危険サインがたくさん目に入った。重苦しさを感じた。

私用のマスクが作られ、毎回の放射線治療の後にサインするカ一ドが渡された。ラジオ体操のスタンプを集めた時のを思い出した。

治療費用に関しては、安堵した。でも一体自分の体に何が起こるのか見当もつかない。これがマスク、想像していたものとはかけ離れていた。サイボ一グにでもなっちゃうのか....




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