見出し画像

自分の歌曲を作って自分で聞く「AI作曲」が自分の日記になる時代。

【楽曲の完パケが一瞬でできるAI】
昨日、教えてもらった音楽のAI作曲サイトで、自分の作った歌詞を入れて、「作曲」してもらった。すると、出来上がったのは「感動の名作」と、誰かに言われるほどのものになった。しかも、「作曲」「演奏」「歌唱」もついて、要するにオーディションに出せる「完パケ」の状態だ。

どこかで聞いたことのあるような「あの曲」がボタン一つ。イベントで使われるテーマソング。飲食店のテーマソング。これまでお金も時間もかかっていたために作成を諦めた曲が一瞬で無料か無料に近い格安な価格で今すぐできる。

有名作家の曲であることが重要な時代は終わった。コストが違い過ぎる。

【著作権は?】
著作権は無料版だとそのサイトに帰属するが、毎月2000円弱の有料版では自分が著作権を持つことができる、という。無料版では楽曲の長さは4分以内、1か月あたりの利用時間等は限られるが、まさかここまでのクォリティの楽曲ができるとは思わなかった。

【驚きの曲のクォリティ】
思わず、嬉しくなって他の音楽関係の友人たちにも聞かせた。「なにこれ」という評価はなく、驚きのポジティブな評価が多かった。

「サビ」とか「リフレイン」の定石もしっかりしていて、非常にマッチした間奏まで入る。そこでの歌唱のポイントも「感動」を呼び起こす構成になっているのがわかる。有名作曲家や有名歌手の作品、と紹介しても、おそらく誰もAIが作曲したものとはわからない。

AIだから、ネット上のどこかの作品をあれこれ世界中から持ってきてツギハギしている結果ではあるのだろうが、ツギハギの不自然さはまるでない。

【歌詞が中心だから】
ただ、ありがたいことに、私が作った「歌詞」への評価は高かった。歌詞は10年くらい前に仕事である新聞に書いた「書評」をもとにして書いたものだ。手前味噌で恐縮だが、要するに歌唱を伴った軽音楽のジャンルでは、感動などの「情動」を呼び起こす中心になるのは「歌詞(ことば)」であって、それにメロディがついてくる、ということになる。スタートラインが「歌詞」。そこに作曲は味をつける、ということになる。だから、歌詞のクォリティなどが歌唱を伴った楽曲では一番重要になる。

【歌詞の作り方】
歌詞の内容を考えるには、最初に「なにを描くか」から始まる。つまり、シチュエーションだ。これが非常に上手かった歌詞作りの名人は、故・阿久悠さんなどがいる。彼の歌詞の「シチュエーション」は、主に米国の映画から来ているものが多い。「勝手にしやがれ」なんてのは、そのまんま、ですが。

「何を描くか」をしっかり見定めると、あとは歌詞の内容が自然に
出てくる、というのが歌詞作りのプロ、ってことになる。ある意味、歌詞を作成するときは「その世界」を他人の脳の中に作る言葉を紡ぐわけなので、まず必要なのは「どんな世界を描くか」だ。多くの作家がうまくないのは、「それ」をしっかり見定めるのが難しいからだ。これができないのは、人間としての経験不足などもあるだろう。

【歌詞もAIが作る】
自分で書いた歌詞を作るのにハードルがあるなら、AIに歌詞で表現したいキーになる単語を入れておくだけで、数秒で歌詞を作ってくれるサービスもある。人間にはシチュエーションの表現が未熟でも、なんとかなるのだ。

AIで作曲。作詞もおそらく、シチュエーションをしっかり頭に思い描けば、いわゆる「プロンプト」のテクニックの話で、そう難しいことでもないだろう。

例えば「ビルの林立する東京都心のオフィス街で、地方から出てきた新入社員の孤独な気持ち」というものを入れれば、それなりの歌詞をAIは出力してくれるだろう。

【楽曲を作るプロの時代は終わるのか?】
「楽曲」を「作り」「演奏」することがプロの仕事であった時代はおそらく変わるだろう。そして「音楽を聞く」のも、CDを買うとかオンラインで好きな曲を聞く、ではなく「ふと思い立った歌詞になりそうなシチュエーションを想像するキーワード」をAIに入れて曲を作り、それを何曲も自分の音楽クラウドに入れておき、好きなときに聞く、というように変わっていくのではないか?そんな将来が私には見える。

【あなたが失恋したときに】
「さっき、コーヒーショップでつきあって3年の彼女に振られた」

「失恋 コーヒーショップ 銀座 午後2時 背の低い頭の良い彼女だった 声はいつもはか細いけど自分の言う番になるとはっきり声を大きくして言う 色白ではないが細面で目が大きい すごい美人じゃないけど可愛げのある子 近い将来は結婚を考えてた 銀座のOLだけど服装はラフで最近はオンラインでの仕事ばかりで、最近は週に2日しか会社に出ていない 黒い髪が長くて魅力的 一緒に話すときは弾むような声」

ここまで入力して「OK」を押すと、数分後に、「そんな曲」ができてくる。それを自分の楽曲クラウドにいれる。時々、思い出してこの曲を聞くと涙が出てくる。それはあなたの作品でもあり日記のようなものだ。

何十年か経ってスマホの中のその時AIで作った曲を聞き返し、その時の自分を思い出す。これがエンターティンメントになる。あるいは、自分にあったことを親しい友人に歌で伝えることができる。

【Say it with your own songs】
英語のことわざで「Say it with flowers(あなたの想いを花で伝えなさい)」という、花屋さんの宣伝文句みたいなのがあるんだが、これからは「Say it with your own songs(あなたの想いをあなた自身が作った歌で伝えなさい)」になるのかもしれない。

彼女への誕生日プレゼントに、あなたが作ったたった一つのラブソングを。

と、これからはそんな「自分だけの歌曲を楽しむ」時代が来るのだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?